新耳袋第9夜を読了。
9巻はさまざまな「き」に、まつわる話が9章からなる短編で集まっている。「き」とは「鬼」「祈」「奇」…などの色んな意味を持つ「き」のこと。
ここからは、私が印象に残った話をざっと集めてみる。
第1章「奇にまつわる12の話」のなかの「虹」という話では立ちションをしている幽霊が登場する。
確かに奇妙です。いったい、何があって幽霊になったのか…
立ちションしてる最中に事故にでもあったのか…?とか色々と考えてしまう。
第7章「忌にまつわる10の話」では「腰女」という男性の腰にまとわりついて離れない女の幽霊が…しかも、当の男性は気づいていない。
これは、リアルに怖くなってくる。
この男性はこのまま気づかないまま今も生活しているのだろうか?
たしかに忌まわしい。
第8章「帰にまつわる12の話」では
昔、9才の娘、舞ちゃんを亡くした両親のお話が3話連続で続くのだけど、その両親は舞ちゃんの姿は見えないけど声が聞こえる。
ある日のこと、父親が不倫をしようとしたが舞ちゃんに見られている気がして未遂に終わった。
その夜、父親の耳許で舞ちゃんが「パパ、フケツ」と言った。
なんか、これ、父親は悪いことしようとしたけど
舞ちゃんはいつも見守ってるんだなあと微笑ましく思ってしまった。
でも、両親のそばにいつもいる舞ちゃんだけど、そんな生活は長くは続かない。
これは、ほっこりしたけど少し切ないお話だった。
第9章「記にまつわる11の話」では「霧」という話があり
これは、阪神大震災の時に派遣された警備員が
「直立した牛を見た」と報告書に記録した話なんだけども
何人もの警備員が芦屋方面の道路で
霧のなかで赤い着物を着た直立歩行の牛の大群を見たという経験をしたというのだ。
「直立した牛」と言えば予言する「件」という妖怪が真っ先に出てきた。確か「件」も芦屋の近くに出るとかいうしなあそれとも死神的なものなのだろうか…色々と考察していたら怖くなった。
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こんなかんじで色んな「き」というテーマに基づいた話が99話収録されている、ほっこりした話からゾッとする話まで粒ぞろいで楽しめたる一冊だった。