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【文豪ミステリー】谷崎潤一郎犯罪小説集

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文豪もけっこう推理小説を書いてたりしますよね。

くまのプーさん」のミルンとか坂口安吾とか。


で、今回は谷崎潤一郎の「犯罪小説集」を読んだので

ゆるゆると日記がてら書いてみよう思います。

谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)

谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)

 

 

4編からなる短編集なのですが。

 

大まかなあらすじはこう

 

「柳湯の事件」

弁護士事務所に青年がやってきて「人を殺したかもしれない」と告白する

ところから始まる。

 

精神病の青年の妄想、疑心暗鬼がもたらす勘違いが生み出した犯罪?

真実なのか、妄想なのかそこら辺がわからない辺りが怖いし

また、死体の描写がリアルでちょっとうぇっとなる話。


「途上」

病弱な妻を殺そうとする夫の話。

様々な方法を使って殺そうとするが

なんかねえ…夫婦ってなんだよーと言いたくなるような話だった。


「私」

主人公の「私」が学生寮で頻発する盗難事件の嫌疑をかけられる。

まあ、読んでると思うけど犯人は予想がつく。

だけど、なんかこれちょっと、犯罪ものというか

谷崎潤一郎お得意のフェチシズム感のある結末だった。


「白昼鬼語」

語り手である主人公高橋の友人の園村はとあるメモを手に入れる。

それには殺人が起こることを示唆した暗号がかかれていた。

興味本意で殺人現場を見学しに行こうと、二人は現場へ足を運ぶ…。

そこで女が男を殺す現場を見てしまう。

 

犯人のアジトを突き止めるまでがしっかり

推理小説しているな…といった感じ

だけど、園村が犯人の女に惹かれていくようになってから様子が変わってくるというか谷崎潤一郎の十八番フェチシズムマゾヒズム感がガンガンに描かれている。

ところで、この話の最後の一行

園村が犯人の女を自宅に招いたときの

「女は悪びれた様子もなく莞爾(かんじ)として微笑した」

で、締めくくる谷崎潤一郎にとてつもないセンスを感じる。

 

 

☆感想

 

うーん、推理小説というか

「犯罪」を起こす犯人側の心理を深く描いている作品。

しかも、谷崎潤一郎の筆力だから犯罪描写が生々しく少し気持ち悪くなってしまった。でも、その生々しさがこの小説の良さかな。

 

 

マゾヒズムフェチシズムを描く谷崎潤一郎

マゾやフェチも案外、性癖の範囲を越えると最終的に行き着くのは「犯罪」なのかも…シリアルキラーとかそうだもんね。

 

そして谷崎潤一郎もやはりそこに着目したのだと思う…と

あまり難しいことは言えないけれどこの作品を読んで思った。

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