四畳半神話大系のスピンオフ「四畳半タイムマシンブルース」森見登美彦
さあ、読み終わったぞー「四畳半タイムマシンブルース」
四畳半神話大系の主人公、主人公が想いを寄せる明石さん
悪友の小津、下鴨幽水荘の主の樋口氏が帰ってきた……
と、言いたいところだけど私は森見登美彦氏のファンになって日が浅い
なもんで「四畳半神話大系」をまだ読んだことがない
そんな私がこのスピンオフ作品の感想を無謀にも書いてみた
★あらすじ
主人公はとにかく冴えない大学3回生。
8月12日。
大学のクソ暑い下宿「下鴨幽水荘」で悪友の小津とだらだらと過ごしていた。
それもそのはずクーラーのリモコンにコーラをこぼして壊してしまったのだ。
その事件は前日の8月11日におきた
とある事情で傷心の主人公が、とぼとぼと下鴨幽水荘に帰るが
下鴨幽水に住む面々が部屋で待ち受けていた
そして「さあ、裸踊りを踊るのだ」と桶一つを渡して裸踊りを強要する
しかし目の前に憧れの明石さんがいる
そんなこっぱずかしいことできるわけがない
「こうやって踊ればいいんですよ〜」と悪魔的な笑顔を浮かべて迫る悪友の小津。そのとき、小津の腕が冷蔵庫に当たった。
こぼれるコーラ…それはクーラーのリモコンに降り注ぎ…
リモコンはお釈迦になったのだ
そして8月12日の現在に至る。
だらだらと過ごす主人公と小津の部屋に明石さんが訪問する
映画研究会の明石さんは自作のぽんこつ映画の編集をしていたのだが
神妙な顔をしてノートパソコンを覗いている
そのぽんこつ映画には
下鴨幽水荘のメンバーが出演しているのだが
演技をしている小津の背後の下鴨幽水荘の2階で
ぽかんとしている小津がもう一人写っているのだ
小津が2人?小津は双子なのか?
どういうことだ、これは?と頭を傾げる2人
そこに現れるもじもじゃ頭の青年、彼は田村と名乗りすぐに姿を消した。
続いてさらに、不思議なことがおこる。
下鴨幽水荘のかたはしでドラエ◯んに出てくる
タイムマシンのようなものを小津が見つける
興味津々の下鴨幽水荘の面々
発見した小津はそのタイムマシンのようなものに乗って
数字のようなものをいじる
すると、小津はタイムマシンとともに消えた
心配する面々だったがやがて小津は帰ってきた
「これは本物のタイムマシンです」小津はそう言い切る
下鴨幽水荘の2階からぽんこつ映画の演技をしている自分を見たのだと
そう、あの映像はタイムスリップした小津だったのだ
そして主人公は思いつく
そうだ、この暑い夏を乗り切るにはこれしかない
「クーラーのリモコンを取り戻そう」
主人公たちはタイムスリップを決意する
★感想
いやー…バカバカしくて笑いっぱなしの読書時間を過ごした
ただ、クーラーのリモコンを取り戻すためだけに主人公たちはドタバタ劇を繰り広げる。
しかし、もっと面白くなるのは
時間を遡るということは宇宙の破滅を招くかもしれないと気づいた主人公が、暴走する下鴨メンバーを止めるべく立ち上がる所からだと言える
宇宙の破滅などどうでもいいと言わんばかりに
銭湯で盗まれたヴィダルサスーンを取り戻そうとする樋口氏
奔放に駆け回る羽貫さん
11日に、傷心で帰ってきた主人公の弱みを握ろうと動き出す非道な小津
それを止める主人公
時空をわちゃわちゃする面々がこの世のものとは思えないほど面白い
こんなやつらをどうまとめて
主人公は無事に現代に戻るというのか
そして田村君は何者なんだ?
今作も、もちろん森見節は健在だし
物語は過去と現代を行ったり来たりするけど
そこをうまく使った伏線がたくさん張られており
その伏線がひとつひとつ回収されていくさまは、まるで推理小説の如し。
そして、笑いの中に潜む主人公と明石さんの甘酸っぱい恋愛要素
この2人の未来は…?
くだらない戦いと笑いと恋の青春タイムスリップラブコメ。
「四畳半神話大系」をまだ読んでなくても充分楽しめる素晴らしい作品でした。