久しぶりのエラリー・クイーン
ずっと気になっていた国旗シリーズの
「チャイナ橙の謎」をこの前、読了。
まあ、いつもの通り
推理小説系の小説は大した感想が書けないので覚書として記録。
☆あらすじ
ディヴァシー嬢は看護師でヒュー・カークの世話をしていた
気難しいヒューのおかげでストレスの貯まる毎日だったが
ひとつだけ、癒やされる時間があった。
それは、ヒューの息子のドナルドの秘書オスボーンに会うことだった。
その日もドナルドの部屋の控え室でオスボーンに会って
とうとうデートの約束にまでこぎつけた。
そして、ドナルドを取り巻く面々が登場する。
登場人物の各々の思いが交錯するなかとんでもない事件が起きる。
鍵のかかったドナルドの部屋で小男の変死体が見つかった
その現場が妙なものだった
小男はにやけた表情を浮かべており、服は逆さまに着ている
さらに、長い槍がスーツの首の襟の所から足の先まですっぽりと
体をまっすぐに固定するように差し込まれている
おまけに、部屋の家具もすべて逆さまのあべこべになっているのだ
その後の解剖の結果、小男は殺害される前にチャイナ橙を食べていたことがわかった。
エラリーは捜査を進めるうちに
中国はなにもかもがあべこべの文化で成り立っていることに思い当たる
小男の胃袋から見つかったのもチャイナ橙
これはにわかに、中国が関係があるぞということで
中国文化に精通している研究家であるジョー・テンプルに助力を仰ぐ
しかし、事件は様々な容疑者が現れては消えという状態で一向に先へ進まない。
そんなところに、ドナルドの友人であるマクゴワンがエラリーに相談に来る。
その相談内容とはある切手商から切手を買ったのだがその切手が問題だというのだ。
エラリーはさっそくその切手を見てみる
すると、その切手はあべこべに印刷されていた。
がぜん、事件に関係があると睨んだエラリーは、その切手を売った切手商を問い詰めると、そのあべこべ切手をある男からマクゴワンに売って欲しいと頼まれたから売ったのだと自供した。
その男はドナルド・カークだった。
私が読んだのはこっち↓
☆感想
あーーーー、これはトリックも何もかも見事に分からんかった。
今回の作品は読み進めていくうちに、登場人物たちの関係が次々と進展していって関係性が変わってくるし
容疑者らしき人物が登場して事件を撹乱するだけして退場して行くしで
私の頭まであべこべになった。
だからエラリー・クイーン恒例の「読者への挑戦」は完全に投げて回答編を読んだのだけど…
正直、トリックに無理があるような気がする
というよりも、好みではなかった。
少しだけトリックのネタバレになるかもしれないけど
密室トリックに道具を使うという行為が好きではないようだ
(横溝正史の本陣殺人事件も解せないと思ったことがある)
しかし、この一見意味のないトリックから意味を見いだし
犯人を導き出したエラリーの手腕は見事だったし
犯人は小男の正体を隠したかったわけだけど
あべこべトリックだからできる隠蔽方法でそこは旨いなと思った。
でもこの作品はエラリー・クイーンの著書の中でも
傑作とは言い難い…ような気がする。
強いて言えば癖の強い、好き嫌いの分かれる作品か。