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【おすすめしたいミステリー】「北ア山荘失踪事件」森村誠一【ランキング形式感想】

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森村誠一はこの短編集↓

 …が、初読みなのだけれども「野性の証明」や「人間の証明」などドラマ化もしているのでめっちゃ有名な作家さん。しかも猫好きらしい。

(私は原作厨なのでドラマはまだ未視聴ですが…)

 

7話からなる短編集で、どれも面白い話ばかりなのだけども、私が読んで気に入った話をランキング形式で、あらすじと感想を同時に書いていくスタイルで記録していこうと思う。

 

★あらすじと感想

 

1位「魔少年」

相良牧子はスーパーの帰り道で車に向かって飛び出す子供を見つけた

その子供は牧子の息子、正男と同じクラスの同級生の宗一

宗一は良くない噂を聞く子供で学校でも問題を起こしていたのだが、牧子は宗一に注意をする事でその場は丸く収まった。

 

だがそのうち、牧子のまわりで猫が焼却炉で生きたまま焼かれたり、正男のクラスの熱帯魚が毒殺されたり、宗一と関わりのあった女子生徒の家が放火される事件が起きる。

 

そして、牧子が不倫相手の男と車に乗っている時に事故が起きる

牧子は運良く助かったが、男は亡くなった。

 

一体、誰が起こした事件なのか…その犯人は驚愕すべき人物だった。

 

感想

私はこの話を読みたいがためにこの本を買ったのだけど、犯人解明の決め手となる場面の「ある一言」で鳥肌が立ってしまった。

 

そして、犯人のあまりに無邪気な動機に恐怖を禁じ得なかったと同時に、大人の都合に振り回されたり、親から無関心を決め込まれた子供の心を思うと読んでいて苦しくなってしまった。

 

この短編集のなかでも、これは私の推しとしか言いようがない。

 

2位「北ア山荘失踪事件」

M岳山荘の看板娘の幸子は登山者の竹下と恋仲になるが、竹下は会社の社長令嬢と結婚をすることになった。

 竹下は己のエゴで幸子に別れを切り出したあと失踪した。

 

その数年後、幸子は大瀬という男と結婚し夫婦になるがそこに愛情はなく

その悔しさから大瀬は幸子の父親の前で幸子に暴言や暴力を浴びせる。

しかしそんな日々は大瀬が山で滑落事故を起こして死亡したことで終わりを告げた。

 

警部補の熊田はこの事故に不自然さを感じて捜査に乗り出す。

 

感想

大瀬が死んだとき、夜中にも関わらず「ざまぁ〜〜〜!!」と叫んだ。

不謹慎だけど、大瀬が幸子にした仕打ちがあまりにも酷かったから…思わず…。

 

熊田の捜査パートと真相解明までの流れはとても面白かったけど、結末に関して言えば幸子が不憫すぎた。もう少し救いがあれば良かったのに…でも、純粋な愛が描かれている話だった。

 

3位「燃えつきた蝋燭」

老朽化したアパートの一室で佐倉という老人は最後の時を迎えていたのだが突然、火事が起きて足の悪い彼は逃げそびれてしまう。彼は若い頃にたくさんの人間を傷つけてきた…いっそ、このまま死を受け入れてしまおう…そう思って腹をくくるが、一人の青年が助けに入ってきた。

 

青年は成人になったばかりで、女手一つで育ててくれた母に恩返しをしようと希望に満ち溢れていたのだが、佐倉はそんな彼を見て嫉妬を覚える。

 

感想

とにかく胸くそが悪い結末

青年に嫉妬した佐倉のとった行動は許されるべきではない

 

しかし憎まれっ子世にはばかる…みたいな感じで、正義よりも悪人の方がこの世の中を渡るのがうまいのだろうなと、悔しさで歯をぎりぎりさせながら感じたそんな話だった。

 

4位「虫の土葬」

リストラされた46歳の上松啓吾は送別会の宴の帰り道で寄り道をしたのだが、そこは人気のない土地で深い穴があいていた

しかも、運悪く上松は足を滑らして落ちて出られなくなってしまう

あらゆる策を弄するが、一向に穴から上がることができず衰弱していくなかで、これまでの人生を振り返る

 

上松を邪険に扱う妻、いくら真面目に働いても名前すら覚えてくれなかった専務、リストラされた上松を嘲笑うように別れの品として粗品霜降り明星ではない)のペン皿を送った同僚…

 

穴の中で自分をこけにしたやつらにふつふつと怒りを滾らせる上松はこのままで死ぬものかと脱出を試みる

 

感想

上松が穴から脱出するまでの展開も面白いし、助けた人物の意外な強かさに舌を巻いたけど、この話って自分の人生を生きない人の末路のような話だと思ってしまった。

(思考停止して人と群れる事で安心感を得る「虫」のような人間だからこういうタイトルなのかな)

 

真面目に働いたって真摯な人生を送ったって他人はそんなもの評価もしない、人は所詮は自分にしか興味がないのだ

他人のため社会のために奉仕すれば救われるはずだという、か細く不確かな糸に縋り付いて生きるよりも、いかに自分を楽しませるために生きるかが大事だと思う、私的には。

 

もちろん、他人や社会のために生きる人は素晴らしいけど自分の事も大切にした方が良い

上松もその事に気づいてほしいけど、わりと「ああ、無情」と思わせられる結末だった。

 

社会で言う「当たり前」を生きてきた人は人生を切り替えようとしても、そうううまくいかないんだと痛感する話だった。

 

 

 

4位までという中途半端なランキング(しかも1位から発表)になってしまったけれど、やはり森村誠一は面白い

 

ミステリーだけでなく、ホラーというか世にも奇妙な物語的なお話も多くて話の幅が広く読み応えがある

 

そのうち、長編作品にも挑戦したい。

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