「ケーキの切れない非行少年たち」宮口幸治
3月に入って読んだ本
医療少年院で勤務をしていた著者のレポと言ってもいいような1冊
少年院、つまり犯罪を犯す少年達には大人に気付かれなかった知的障がいや発達障がいが隠れているという
タイトルの通り、ケーキを3等分できなかったり、発達障がいの特性のため身体をうまく使えなかったり、筒の中に入ったコルクを道具を駆使して取ることができなかったり融通が利かない
それゆえ周りと衝突したり、感覚のずれで学校などの社会からつまはじきになり犯罪を犯すようになる…という段階を大抵の非行少年たちはふんでるらしい
そこまではだいたい私も察していたのだけども、ある少年殺人犯が自分の犯した罪を「悪い事」と自覚していないどころか、自分が優しい人間だと思っていると言っていた事に驚いた
そんなことは海外の有名なシリアルキラーですら言わない
というのも、そういう少年の問題は
認知機能の歪み
に、あるらしい
例えば1例だけど…
声をかける→無視される
このような事があれば、一般の人なら「声が聞こえなかったのかな?」となるけど、歪みのある少年は「嫌われているんだ」という怒りに変わる
それが認知機能の歪みというらしく、これが欠如していると物事を理論立てて考える事ができなくなり犯罪という形になる
(キレやすい人の脳構造)
このように本書は非行少年たちの背景を掘り下げ、認知機能を改善する更生施設でのトレーニングを紹介していく内容となっている
★感想
とはいえ、私も発達障がい
いわゆる「多動性」はなく大人しいたぐいだったので周りの大人に気付かれずに大人になってから発覚した
だから、この少年達の感じる周りと感覚が違うのに誰も助けてくれない苦しみはわかる
この子達は健常者に見えるいわゆる「グレーゾーン」ってやつに近いのではないか…と感じた
発達障がいや知的障がいグレーゾーンは、誰にも気付かれずに「ただ変なやつ」と思われるだけで理解されず、厄介者扱いを受け最も苦しむのだけど、現状から言うと社会はグレーゾーンに理解があるとは言い難いよなあと感じる
本書を読んで思ったのは、こういう子達の親も発達障がいの場合が多くて自分の子の異変に気づきにくいので、他人が気づいてやるのが最適だと思われる
例えば、学校とかも勉強を教えるだけではなく教師がよく配慮して観察するとか、専門の医師やカウンセラーを増やしてそういう生きにくい子達に気づける環境を作るとか…そういった児童が相談しやすい環境にするとか…うーん、難しいかなあ…
でも、たいていの犯罪者は
親が未診断の発達障がいや、軽度知的障がいで家庭環境が悪い→そんな環境で育った子供も問題児になる→社会からの孤立
となってるので、その辺に犯罪者を作る要因があると私もつねづね思ってる
本書を手がかりに周りの大人が救いを求める少年達に手を差し伸べられる社会になれば…と思った
※このブログでは「少年達」と書いてるけど、もちろんこの中には「少女」も含まれます