気分の悪くなる児童文学「にんじん」ジュール・ルナール
久しぶりの投稿
梅雨の低気圧と不眠症にやられて、しばらく動けないでいたけどなんとか復活
読んだ本もたまりまくってるので、少しずつここで記録をつけていけたらいいなあ
ということで
童話みたいなもんだろうと軽い気持ちで読んだら、かなり気分の悪いものでした…
☆あらすじ
髪が赤いからにんじんと呼ばれている少年にんじんの家族との日常を描いた物語(この作品の作者ルナールの自伝的小説)
だけど、母親が典型的な毒親
兄弟間差別や、にんじんへの人格否定、おもらしをしたらその尿を飲ませるなどの虐待を加える
にんじんは自分が悪い子だからと思い込みうまくやろうとするけれど、その思いは母親にはいっさい届かず、徐々に歪んでいく様がゆったりと綴られている
☆感想
短い話で展開していくので読みやすいのだけどもとにかく重く読み進めるのが苦痛
ほのぼのした家族の日常を描いているのに母親の存在が異分子すぎて日常に潜む違和感を描いたホラー小説みたい
末弟のにんじんを餌食にしていじる事で家族がワイワイするという学校でのいじめに通ずるものがある
ストレスのせいで、にんじんが動物を殺したり破壊衝動を抑えられなくなったり…だけど、学生寮でのとある出来事から愛情を欲してるようにも感じるし、アダルトチルドレンができていくさまを見ているようでおぞましくなったし悲しくなった
これが現実の世界で今でも起きてるんだよな
たぶん、にんじんの母も人間として何か欠落した親に育てられたからこうなったのか?自分がされた事を子供にもするっていう負のループ
おもらしのエピソードに関しては、幼少期のおもらしはいわゆるシリアルキラーと同じ特徴でもあるから、そういう人間を作る環境ってこの作品の環境に近いと思う
ラストは母親に洗脳されつつも、今の状態を脱却したいという意思を感じた
にんじん(ルナール)が作家として成功したという事は、この母親の存在を振り切ることができたのだろうか