読書人間の電子書斎

〜今まで読んだ本を記録して自分だけの図書室を作るブログ〜

【本の世界で謎を解く】「この本を盗む者は」深緑野分

2月に入り読み終わった本

本屋大賞にもノミネートされていた

「この本を盗む者は」深緑野分

 

本好きなら憧れるミステリーかと思いますし、人が死なないのでそこらへんが苦手な人も楽しめる一冊でした

 

ちなみに、この著者さんの「戦場のコックたち」は名作なのでこちらもおすすめです

最近は頭がぼんやり気味なので文章がハチャメチャだけど、せっかく読んだのでガツガツと記録していこうと思います

 

★あらすじ

舞台は本の町、読長町

 

「本探しながら御倉さんで一発だ」と言われるほどの蔵書を抱える御倉館にて不思議な事件が起こる

 

怪我をして入院した父あゆむの代わりに、御倉館のいっさいを取り仕切るねぼすけの叔母のひるねの世話をする事になった深冬

 

深冬は本が嫌いなのだがイヤイヤながら御倉館に足を踏み入れると「この本を盗む者は魔術的現実主義の旗に追われる」と書かれた気味の悪い御札を発見する

さらに真白という女の子が御倉館に入り込んでおり深冬は動揺するが、真白は毅然とした態度で「泥棒が来て呪いがかけられた」と『繁茂村の兄弟』という本を深冬に読ませた

 

その瞬間、読長町は満艦飾の旗に包まれ、月がウィンクをし、あちこちから植物が芽生えた

その世界は『繁茂村の兄弟』の本の世界そのものだった

 

どうやら御倉館の本には呪いがかけられており本を盗まれたら、その本の世界に閉じ込められるというのだ

 

呪いを解く方法は犯人を捕まえる事

 

深冬は、変わってしまった世界から抜け出すために犬になった真白と『繁茂村の兄弟』を盗んだ犯人を捕まえるために本の世界を奔走する

 

★感想

この本は全5話からなり、深冬は5つの本の世界を探険しながら犯人探しに挑む

話が進むにつれ深冬がブックカースの法則を探る人物と協力したり、御倉館の本に呪いをかけた人物とそのキーとなる存在が明らかになっていくというミステリー

 

盗まれた本の世界に閉じ込められ、盗まれた本のあらすじにそって謎が立ちはだかるという構成が面白いし、本の世界の登場人物に紛れそブックカースを利用しようとする人物が現れる第2話は書店の万引き行為の罪の重さについて考えさせられた

 

頼りない深冬が謎を解きテンポ良く進むストーリー展開は読んでいて非常に気持ちが良いし、コロコロと変わる登場人物達や独自の世界観、制限時間が迫ると本から出られなくなるというスリル…著者さんの創造力が凄まじいと感じるし冒険小説みたいな側面もある作品だった

 

あと、ハードボイルドやファンタジー、SFなどの本の世界を慣れないながらも犯人を見つけるために渡り歩く深冬の姿が、ほんっとーに大変そうなんだけど、いち本好きとしてはとても羨ましい

 

本の世界って一度は入ってみたいと思うよなあ…私は「百舌の叫ぶ夜」に入って殺し屋の百舌に会ってみたいもの…

(でも叙述トリックの世界に巻き込まれるのってきついな)

 

最後の謎から結末にかけては、かなりのスピード展開に感じたけど深冬の祖母との確執や人間関係が強調されている

蔵書に対する人それぞれの向き合い方も私には新鮮に映った

深冬が本嫌いになった本当の理由が明らかになり、本を書き、読書を愛する人達の気持ちもそれぞれだと再確認

ミステリーだけど、本好きの人の夢が詰まったファンタジー作品のような一冊だった