読書人間の電子書斎

〜今まで読んだ本を記録して自分だけの図書室を作るブログ〜

【毒親ここに極まれり】「キャリー」スティーブン・キング【映画の話もちらっと】

10月頃に読み終えてなんとも言えない気分の後味の悪さを感じた「キャリー」

映画は事前に観ていて知っていたのだけども、小説を読むとより登場人物の心情が掴みやすくなるので良いですね

 

 

★あらすじ

地味で変わり者(超能力がある)の高校生のキャリーホワイトは、学校のシャワールームで突然、初潮がはじまり混乱する

彼女は母親に汚らわしい事だという理由で「生理」を教えてもらっていなかった

血が流れる恐怖に慌てるキャリーを面白がってクラスメイトが彼女に罵声を浴びせながら生理用品を投げつける

 

とにかく最悪の開幕である

 

その後、家に帰り母親に「どうして教えてくれなかったの?」と詰め寄るキャリーだったが母親のマーガレットは狂信的なカトリック信者?なので「女の罪だ」と言い張りキャリーに祈らせクローゼットに閉じ込める

 

その頃、キャリーのクラスメイトのスーザンはキャリーに罵声を浴びせていじめていた事を悔いていた

「なにかキャリーにしてやれることはないだろうか」と考え抜き、自分の彼氏のトミーに「キャリーとプロムに行ってあげてほしい」と頼む

 

キャリーはトミーの事が好きだったのだ

(キャリーが真実を知ると嬉しくないと思うけど)

 

トミーは二つ返事でOKしてキャリーをプロムに誘う

キャリーは笑いものにされるかもと戸惑うものの、普通の女の子に変わるチャンスだと思い承諾

 

自分でドレスを作り思い切って胸元を開け、激しく止めるマーガレットを半ば脅すようにして、迎えに来たトミーとプロムに出かけていった

 

しかし、キャリーのクラスメイトのビリーはプロムをめちゃくちゃにしてやるために「ある画策」をしていた

ビリーはキャリーのことが嫌いな女クリスを連れてプロムで盛り上がっている学校へ向かい、キャリーに豚の血を浴びせかける

 

そのショックでキャリーの超能力は暴発して街を巻き込んだ悲劇が起きる

 

 

★感想

ことごとくキャリーがかわいそうだった

 

スーザンの償いも伝わらないまま、自分は皆の前で笑いものにされたんだと勘違いをしてしまい、狂気に取り込まれてしまう

 

といっても、スーザンも天然の嫌なやつに思えた

だって、キャリーが自分の彼氏のトミーを好きなことを知ってたから「プロムの夜だけでも付き合わせてやろう」っていう同情…これ親切だと思ってるかもしれないけどキャリーの事を見下してない?

 

キャリーが真実を知ってどう思うか考えないのか?

 

なにより一番ひどいのがビリー

彼女はいじめられても捻くれたり腐ることなく変わろうとしていたのに、この馬鹿な男の悪ふざけによりぶち壊された

 

若者の鬱憤や10代ならではの無邪気な悪意が描かれていて、それぞれの人物にも生き辛さとか色んな訳はあるのは分かるけど、キャリーへの仕打ちを考えると無神経で屑なやつらにしか思えなかった

 

そして、この話の元凶マーガレット

 

キャリーの超能力を恐れ何度も殺そうとしたけどできなかった

その事から恐らく少しは愛情はあるのだろうけど、その育て方は良くない…宗教のためにひたすら娘を抑圧しまくる

 

宗教なんて自己満なんだからあんた一人で教義を守ってろよとしか言いようくださいがない

 

娘を所有物にするな

 

でも、マーガレットにこんなに酷い事をされてもキャリーが最後まで「ママ助けて」「ママの言った通り行かなきゃよかった」と言っていた…

この場面はまだ小さな子供が親に助けを求めてるように見えて胸が張り裂けそうになった

 

マーガレットが然るべき愛情をキャリーに与えてやってれば…キャリー1人で頑張らせずに誰かが正しい方法で助けてやってたら…少しは違った結末になったんじゃないかと思った

 

胸くそが悪いのに悲しい小説

 

【映画について】

ちなみに映画に関しては、リメイク版のキャリーを演じるクロエ・グレース・モレッツが可愛かった

超能力暴発シーンは圧巻だし、血を滴らせながら火の中を歩くキャリーの姿が恐ろしくも美しい↓(アマプラで観れるはずなので、ぜひ!)

 

でも、私としては初代キャリーの方が小説のキャリーのイメージに近い

キャリー演じるシシー・スペイセクが素晴らしい

いじめられて沈んでる時は陰気臭く微妙な顔に見えるのに、ドレスアップして笑った顔は華やかで可愛いく不思議な変化を見せる面白い演技をする

ただ、序盤の初潮の場面はエグい

でもマーガレットが怖いのはリメイク版かなー…