もうだいぶ前に読んだけど、いつまでも忘れられない本
「旅猫リポート」
有川浩さんの作品で映画化もしました
大まかなあらすじと感想を書きたいのですが、もしかしたらネタバレになる所もあるかもしれないです
★あらすじ
語り手であるオス猫のナナは野良猫。ある日、怪我をしていたところを猫好きの青年さとるに助けてもらい一緒に暮らすことになる
しかし5年後、さとるはとある事情でナナを飼えなくなってしまい新しい里親を探すために銀のワゴン車に乗ってさとるの故郷の北海道へ旅に出ます。
里親候補はさとるの同級生達で、彼らはさとると昔の思い出を振り返り懐かしむ
その昔話から少しずつさとるの過去と、さとるの置かれた現在の状況が明らかになるという構成
里親候補の同級生達はナナを飼ってもいいよと言うけれど、肝心のサトルはなぜかなにかと理由をつけて断るのだ
それはもちろん、ナナを手放したくなかったから
それにかつての同級生たちの顔を見たかったから
その理由は…
★感想
とにかく泣いた
最終的にさとるの伯母さんにナナを引き取ってもらうことになるんだけど、さとるがある事情でナナと離ればなれにならなきゃいけなくなる場面がある
その時にケージにナナを閉じ込めてさとるは家を出るのだけども、ナナが「僕もつれていけ」とケージを開けようするのでさとるはナナをつきはなそうと強い言葉を吐く
でも、たしかに強い言葉なんだけどその言葉の端々にナナを想う気持ちがあって、ナナと離れたくないという気持ちが伝わってきて「なんでこの二人がいつまでも一緒にいられないのだろう」現実が残酷すぎて嗚咽が止まらなかった
ここが私が一番泣いたシーンだった
あと、さとるの生い立ちもとても辛いもので「ここまで苦労をして傷ついてきた人なのにやすらぎはないものなのだろうか」と読んでいて心がどんどん削られていった
それでもさとるは周囲の人達に愛されてるし、ナナとは言葉は通じなくとも固い絆で結ばれている
最終的に伯母さんの機転でナナと会えたことも幸せだったのかもしれない
それがこの物語の救いか…
ほとんど本を読んで泣くことなんてないけど、猫を飼うものとして、ここまで飼い猫に想われてたら幸せだ
そう思ってこの本を片手に家の猫をなでまわした
余談ですが映画も観ました
ナナのイメージは違うけど小説の情景や二人の未来を知っているせいか、ナナとサトルが出会う最初の場面で号泣しました。30にもなって。アホでしょ。