些細な違和感を恐怖に変えた小説「ファミリー」森村誠一
私が5月に読んだ本
森村誠一「ファミリー」
これね…たしか、子供の頃ドラマでやってて印象に残ってる作品なんです
で、本屋で見つけたのでさっそく買って読んでみたんですが、いやー気持ち悪いし怖いし、本当に森村ワールドは最高だわと思わせてくれた一品でした
ざっと説明をするとこんな本
★あらすじ
婚約までしていた恋人を事故で亡くした弓子は、職場の上司の紹介で羽室裕也と結婚して羽室家に嫁ぐことになった
羽室の家族構成は舅の徹三、姑の繁子、長男の裕也、次男の一直、長女の睦子
弓子は今日からこの家族の一員になったのだ
羽室の家族は皆、和気あいあいとしていて弓子にも優しくて、母子家庭で育った弓子には理想のような家族だった
しかし、この家族にはそれぞれに薄い殻を貼ったような接し方をしているような謎の違和感を感じるのだ
でも家族なんてそんなものだろう、弓子は深く考えず 幸せな日々を送るが、異変に気づいたのは些細な出来事だった
いつも隣で寝ている夫の裕也が夜中になると布団を抜け出してどこかに行くのだ
どこへ行くのだろうと弓子が後をつけてみると繁子の部屋
そこで、弓子は思い出す
いつも繁子は息子である裕也に親というよりも恋人のような態度で振る舞っていることを
まさかこの二人は…いやそんなわけはない、弓子はその思いを振り切る
だが、怪しいのはこの二人だけではなかった
睦子の寝室からそそくさと出てくる徹三
電話室の中で抱き合っていた一直と睦子
この家族は近親相姦でもしているのではないか
あまりにも異常だ、ここから逃げなくてはいけないのかもしれないと
考える弓子に追い打ちをかけるような決め手となる出来事が起こった
羽室家のお隣に住む沖野家の猫ミーを繁子と一直が土に埋めようとしたのだ
というのも、日頃から繁子は沖野家を毛嫌いしている
それは並大抵のものではなく「監視している」という半ば強迫観念のような嫌い方なのだ、猫も例外ではない
こんな異常な家にはもういられない
弓子は友人の美津子に相談して離婚の手続きを進めるが、裕也との子供を妊娠した事が発覚する
それと、前後して繁子も弓子の妊娠に感づき、「その子供は羽室のものだ」と弓子を地下室に閉じ込める
★感想
もうムリ
近親相姦描写で気持ち悪くなってしまった
森村誠一さんの描く男女の描写が生々しい作品なんですよね
でも、先が気になって次々と読んでしまう不思議
弓子が閉じ込められてからの怒涛の展開は息をつくほどで、友人の美津子が沖野家と結託してものすごいファインプレーを見せるのは胸がすく思いだった
羽室家と沖野家の関係もかなり意外で、最後まで息をつく暇など与えない
ハラハラと驚きを交互にぶちまけられる読書体験
この驚きだけでも読んだかいがあったってもんよ
私はこの作品をホラーと書いてるけど伏線が貼られていて
後半でしっかり回収されるのでホラー寄りのミステリーといった感じ
結末もまた「ふえぇ…終わりがないよお」となるような後味の悪さだからバッドエンド好きの私としては最高の作品だった
あと、私本当に森村誠一作品にハマってしまったので、しばらくこのブログで「森村ラッシュ」が続くかもしれない