読書人間の電子書斎

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【ちょい愚痴あり】解釈が難しい「忌館」三津田信三

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三津田信三さん。

ホラーとミステリーを融合させた作風が特徴で、新感覚の読書体験ができるので最近、読みふけっている作家さんです。

 

この前読んだのがこの作品

忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)

忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)

 

 ちょっと、解釈が難しかったけどめっちゃ怖かったので

さくっと語っていきたいと思います。

 

★あらすじ

小説の選考会のメンバーに選ばれた著者の三津田信三

しかし、新人賞に奇妙な原稿が投稿される

その応募者の名前は「三津田信三

そう、著者本人から送られてきた原稿なのだが

著者はそんなものを送った覚えはないし、身に覚えもない

 

ひっかかるものを覚えながらも

著者はとある家に引っ越すことになった

その家というものは、過去に何度も凄惨な事件が起こった家

著者はあえて、そのような家に身を起き怪奇小説をかく仕事を始めようとする。

でも、その家に越してからというもの不可思議な現象に悩まされるようになった。

そんな時、著者の前に諒子という女性があらわれる。

 

★感想

 

この作品、著者の現在と著者のかいた怪奇小説を交互に読んでいって謎に迫るというような構成になっているのだけども

著者が家のせいで精神を蝕まれていく様が書いている小説から読み取れてかなり不気味です。

 

しかし、この作品、私があほなせいか解釈が難しかった

 

著者の引っ越した館は人形荘といって、過去に何度も凄惨な殺人事件が起きている。

この複数の事件に共通するのは四人家族ということ。

父親、母親、姉、弟が、知り合いに残虐な方法で殺される

くわえて、この事件は7がつく時期に起きている

 

そして、著者が作中で書いている小説も四人家族が人形荘に越してきて

事件に巻き込まれるという話

 

何度も現実の著者をめぐる怪奇現象と小説を行ったり来たりするので

現実の人形荘で起きた現象と、著者の小説の話が入り乱れていって

どちらが真実なのか分からなくなってくる

 

それでも、読む手が止まらないのが不思議

特に、諒子の正体が明らかになってからの怒涛の伏線回収劇が素晴らしかった

 

それでもひとつ、疑問なことはある

 

もうここからは、私の読解力がないせいなのかもしれないけど、正直に思った事を書いておく。

 

冒頭に著者本人である「三津田信三」から送られてきた原稿の事は、物語後半で送ってきた者の正体が分かるんだけど、ぶっちゃけ言わせてもらうとこの謎はいるのか?

 

原稿についての謎はどちらでもいいから、もう少し人形荘を取り巻く謎を掘り下げてほしかった。

今までの殺人事件が四人家族である理由、7という数字の謎

人形荘のジオラマの謎は?

最初に人形荘に越してきたソーンダーク1家は誰に殺されたのか?

一連の怪奇現象は殺された者の怨念なのか?

それとも人形荘という館自体に人(犯人)を狂わせるなにかがあるのか?

 

後日談の「西日」という作品も収録されているのだけども

読んでもまだ、分からなくて消化不良な感じがした

(いや、デビュー作品だから、こんな感じでちょうど良いか…)

 

ホラー・ミステリーというジャンルの作品だけど、ミステリー要素は原稿のくだりで、それ以外はホラー要素が強めなので、むりやりミステリー要素を入れなくてもホラーに全振りしても良いと思った。

ホラーだけだったとしてもかなり面白い作品だったし。

 

どちらかというと、私が去年読んだ

どこの家にも怖いものはいる (中公文庫)

どこの家にも怖いものはいる (中公文庫)

 

 ↑こっちの方が、ホラーミステリーという新しいジャンルを確立してると思った。

 

しかし、この作家さんは恐怖を煽るのが本当に上手くて読んでいて思わず後ろを振り返ってしまうほど…この恐怖描写だけでもご飯三杯はいける。

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