読書人間の電子書斎

〜今まで読んだ本を記録して自分だけの図書室を作るブログ〜

【悪魔のいけにえ前日譚】レザーフェイス-悪魔のいけにえ-【少しのネタバレあり】

日曜日にアマプラつけてぼーっと眺めてたホラー映画

レザーフェイス-悪魔のいけにえ-」

この映画は名作「悪魔のいけにえ」の前日譚となっているらしく、あのレザーフェイスの誕生が描かれている

(これが悪魔のいけにえ。リメイクでテキサス・チェーンソーがある)↓

名作映画のスピンオフは苦手だしあんまり期待はしてなかったけど、まあまあ面白かった

 

★あらすじ

殺人一家ソーヤー家に生まれたジェド(後のレザーフェイス)は、殺人練習をするため家族の手引きによってカップルの片割れのベティという少女を小屋の中で殺す

その現場に駆けつけた警官はベティの父親

警官はいつも殺人事件の第一発見者がソーヤー家の人間であることを怪しみジェドを更生施設に入れる

 

それから10年後、更生施設にジーという看護師がやってくる

 

ジーは施設で働き始めて早々アイクという男に襲われそうになるがジャクソンバッドという優しい青年二人に助けてもらう

ジーは二人に感謝しながらも他の収監者にネズミの踊り食いをさせようとしているクラリス(アイクの彼女)や、電気治療と称した拷問を収監者に食らわせる施設長など施設の異常さに面食らう事になる

 

そんな中、ジェドの母親がやってきて「ジェドを施設から出してちょうだい」と施設長に掛け合う(そう、ジェドもこの施設にいるのだ)が、施設長には相手にもされず案の定ヒステリーをおこし、鍵を盗み施設内の錠を開けて収監者を逃してしまう

 

チャンスだとばかりに混乱に乗じて地獄のような施設から逃げ出す収監者たち…

 

合流したアイクとクラリスは、バッド、ジャクソン、リジーを車に乗せて脱走する

 

物騒なアイクとクラリスから逃げたいリジーだったが「お前が逃げたらジャクソンとバッドを殺す」と脅されて5人で警察から逃げながら逃避行をする事になる

 

ジーの運命は?そもそもジェドはどこにいるのか?

レザーフェイス誕生までのカウントダウンが幕を開ける

 

 

 

★感想(確信に触れるネタバレあり)

まずこの映画で目を見張ったのがクラリスの射撃技術

そこかよ…って思うかもしれないけど、ぜひこれから観る人も、もう観た人もクラリスの射撃に注目してほしい場面

 

腹を空かせたアイクとクラリスはリジー達を連れてレストランに入り、拳銃を奪うためにレストランにいる人達を殺すのだけども、拳銃を手にしたクラリスの射撃力の高いこと高いこと…

 

逃げ惑う人達にピンポイントでヘッドショットをかましまくる

 

これ、地味にすごくない?ぜひクラリスにはFPSをプレイするゲーム実況者としてYou Tubeで活躍していただきたい

 

それはおいといて

 

相変わらずこの世界の住人は話は通じないわ、人殺す事に躊躇がないわ、死体見つけても日常とばかりにスルーできる奴らばかりで嫌悪感は湧くものの、施設から逃げてからの展開が早く余計がないので観やすかった

 

ぶっちゃけると、ジェドは逃避行をしているこの5人の中にいるんだろうと予想はついてたんだけど、誰がジェドかわかった時「ジェド?お前が後のレザーフェイスなのか!?」と少し驚いてしまうような人物だった

(ルックスがレザーフェイスと似ても似つかないから…)

 

ジーと、ベティを殺された警官がソーヤー邸から共に逃げ出そうとする所は少しぐだったけど、最後の警官の生首がぶっ刺さってるシーンでは「これは悪魔のいけにえの冒頭を思い出すな…」とニヤリとした

 

悪魔のいけにえ」はもちろんリメイクの「テキサス・チェーンソー」も観てるけど、前日譚であるこの作品はグロ要素はそれほど…(慣れてる人は平気だと思う)

 

レザーフェイスの前日譚は必要か…?とは思ったけどすっきり伏線が回収されていくし、結末がきれいに「悪魔のいけにえ」に繋がっていくから普通に楽しめた

 

贅沢を言うならこの作品は今風だし画質がきれいすぎる、前日譚なんだから「悪魔のいけにえ」の時のような画質にしてほしかったかな

 

アマプラで無料で観れるのでぜひ!

 

【読む前の自分に戻りたい】「隣の家の少女」ジャック・ケッチャム【感情的な長い感想、ネタバレあり】

スティーブン・キング絶賛というあおりに引かれて手に取った本書

ホラーかミステリーみたいなもんかなと軽々しい気持ちで読んだんだけど、読み進めていくうちに吐き気を催した

 

グロ耐性がある人でもこの作品は耐えきれるものではないと思います

なるべく過激な表現は避けて書きますが性的虐待や性犯罪などのトラウマがある方はブラウザバックして下さい

 

★あらすじ

両親の仲が悪く家庭環境に問題のある十二歳のディビッド

ある夏の日、川でザリガニ釣りをしているとメグという少し年上の美少女に出会い一目惚れする

彼女は両親が亡くなったので、妹スーザンと一緒に叔母であるルースの家に引き取られてきたという(ルースはディビッドの隣の家に住んでいる)

 

ディビッドはルースの家に通いルースの子供達やメグと過ごす日々を心から楽しんでいた

幸せな日々だったが、しだいにメグがご飯を食べさせてもらってない事、メグがルースの子供達にいじめられている事などメグが異常な状況下に置かれている事を知る

 

そして、とうとうこの最悪な環境に耐えかねたメグは自身が置かれた状況を警察に相談する…が、警察はメグの話を「ルースは君を想ってやっているんだよ」とスルー

 

おまけに警察に相談した事がルースにバレてしまう

 

ルースは怒り狂い、罰のために「メグを家から出さない」という決まりを作る

 

ディビッドもメグの軽率な行動に腹を立てしばらくはルースの家には行かなかったのだが、数日後、気まぐれにルースの家に遊びに行ったらメグは地下室の中でルースの子供達に暴力を振るわれていた

 

スーザンを人質に取られているのでメグは反撃すらできない

 

メグは立ったまま縛り上げ全裸にされる、それを笑いながら眺めるルース

ディビッドはそれを異常だと感じるが、メグの裸に魅了され、なぶられるメグを見たいというサディズム的な欲求に勝てずそれを止めることをしなかった

 

地下室で縛られ閉じ込められたメグへの虐待は近所の子供も加担して日増しに「拷問」といえるほどの行為へとエスカレートしていく…

 

この話は実際の事件がモデルになっていて「シルビアライケンス事件」と言われている

ja.m.wikipedia.org

↑いちおう、Wikiへのリンクを貼っときますが、かなり凄惨な内容なので感受性が強い方や精神的に弱っている方にはおすすめしません

トラウマになる可能性があるので読むのは本当に自己責任でお願いします

※このガートルードという奴が主犯でルースのモデル、無期懲役判決が出ています

 

 

★感想(長め)

読了後の虚脱感が凄かった…この作品は、実在の事件をモデルにしただけであくまでフィクションだと思いながら読むのが良いのかも

 

メグが衰弱していく場面では助かってほしいけど、それが叶わないならいっそ早く亡くなってほしい、そうすればもうメグが苦しまされる事はないからと願ってしまったほどに辛かった

 

この話はメグとスーザン以外誰にも同情はできない

 

ルースを主犯としてルースの子供達と近所の子供がこぞってメグに悪逆の限りを尽くす

ルースはメグをあばずれだと言い、メグを男と交われない身体にすればメグは完璧になるのだ…と謎理論を垂れている場面は教祖のようだし、集団になるとたがが外れる子供達も怖い(大人になったらどうなるんだ)

 

メグの体に卑猥な言葉を掘る、妹のスーザンの前で凌辱する、果てにはメグの性器を〇〇する場面はもう耐えられなかった

この物語の中に私を入らせてくれ、私がこいつら全員こ〇してやるから…と思ったほどだった

 

ディビッドだって最終的にメグを逃がそうとしたけどその行動はもっと早くにできたはず、メグが死にかけてからでは遅い

中年になったディビッドが後悔する場面があるけど、子供の頃のディビッドは痛めつけられるメグに明らかに興奮していた、親にバレたら怖いという自己保身と自分の欲望のために通報すらしなかった

その罪は一生背負うべきものだと思う

 

もちろんメグを死に至るまで痛めつけた子供達も地獄に落ちるべき

ルースの最期も生ぬるい、ルースも縛って熱湯をかけて屈辱に満ちた言葉を掘ってやりたい

 

……ただ、この本を読んでいて一番嫌だったのは「この先どうなるんだろう」と怖いもの見たさで読み進めた自分

これでは傍観者だったディビッドと同じではないか?自分は鬼畜なのか?と混乱し、嫌悪感が湧いた

それとも、ここまで気持ちの悪い話をスラスラと読ませるのがジャック・ケッチャムの実力なのだろうか?

ある意味すごい才能だけど、この著者の本はもう読みたくない

「これを読んでる自分はおかしくなってしまったのでは」と思い悩んでしまうから

 

しかしなぜ、ルースはメグの女性器ばかりを執拗に痛めつけたり、女同士なのに性的虐待めいた事をするのかがわからない…レズビアンでもないし…

ルースは女性という性にコンプレックスがあるのか?これからいろんな男性を魅了するであろう若い女であるメグに嫉妬したのか?ルースの夫はルースを捨てて逃げたらしいけど、ルースの夫が若い女と不倫でもしてたとか?

理由は最後まで分からないけど、私には年老いた女が若い少女に向ける嫉妬に思えた

 

だとすると、嫉妬だけで残忍な事ができる人の皮を被った鬼みたいな「生き物」が現実にいたんだよなあ…身震いする

人は集団になると残酷になれる、どこの世界にもこんな狂った奴らはいるし、過去にもこの手の事件はある、今こうしてる間にもこんな事件は起きている

 

自分の身は自分で守らなければいけない

 

近頃は物騒なのでこういう奴らがいたら全力で関わらないようにしよう

このブログを読んでいる方も本当に気を付けて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【自業自得がまねく悲劇】「ラストファミリー」森村誠一

結構前に読んで、記録し忘れていた本、森村誠一の「ラストファミリー」

これは、三篇からなる短編集となっていて少し異色です

ちょっとジャンル分けに困る作品だなあと思ったのですが、さらっとあらすじと感想を書いていきます

 

「ラストファミリー」

表題作

娘と息子を亡くし死を待つ身となった老婆のこうの前に中村という泥棒の青年が家に侵入してきた

 

ふしぎと中村に恐怖を覚えなかったこうは自分の過去をとつとつと中村に話し始めた

 

というのも、こうの夫は不審死を遂げており、娘と息子は結婚していたがその夫と嫁に追い詰められ亡くなっている

こうが死ねばその財産は娘と息子の夫や嫁に入ってしまう

 

絶対に譲りたくない…憎しみを全面に出すこうに中村が復讐を提案する

 

★感想

これはスカッとするリベンジものなのか…?と思ったけど、最後の最後で裏切られた

 

こうの夫と娘と息子を死に追いやった奴らにじわじわ仕返しする様は「ざまぁ」という感じで読めたし、こうはひとり残されたかわいそうなおばあさんみたいなイメージだったのに、ラスト3ページで因果は巡るもんなんだなと思い知らされるような反吐が出そうな結末が待っている、後味が絶妙に悪い

 

でもこの感じが森村誠一ワールドと言えるので私は好きだ

 

「異次元の夜」

こちらは全10話のSFショートショート

 

体が小さくなっていく彼氏、夢の中での恋愛、同じ日を繰り返すループもの、過去の自分が大量発生する…などなど

 

恐怖というよりも「おお、そう来るのか」というような面白い発想が詰まった話ばかりでかなり読み応えがあったし、森村誠一さんってこういう作風も書くんだなあと新しい発見ができた

 

ダークな世界観に優しさを加えたようなショートショート

 

ちなみに、この作品は森村誠一のデビュー前に「百日草」という美容誌で連載されていたらしい

 

「無責任の恐怖」

とにかくついてない男、保坂

彼は眼前で泥棒に自転車を盗られてしまう

しかし、逃げようとした自転車泥棒は飛び出してきた車に接触して倒れてしまう

 

そのごたごたのあと、保坂は新宿のマンションで殺人事件が起きていたというニュースを目にするのだが、なんと被害者は自転車泥棒接触した車に乗っていた女なのだ

 

保坂の運命は… 

 

★感想

いや、この話は怖すぎる

殺人事件の謎解明から自転車泥棒接触事故に繋がっていく…とぎれとぎれの時系列が線になっていく感じがすっきりするコンパクトなミステリーとなっているんだけど、ラストは格別と言っていいくらい救われない気分になる

 

保坂は事件解決に一躍かって警察に感謝状までもらうけど、めでたしめでたしで終わらない

 

彼は「とにかくついてない男」

 

人の運というのは生まれついてのものなのだ、良い事があっても後で払わなければいけない…というミステリーの皮を被った残酷な恐怖小説だった

 

 

★まとめ

森村誠一作品はいくつか読んで感想を書いたけど、こちらの短編集は今までの作品とは一味違う作風となっている

「異次元の夜」は新しい森村誠一の世界観を堪能できるし「ラストファミリー」「無責任の恐怖」は読みやすいイヤミスみたいな仕上がりになっているのでページ数は少ないけど満足感があった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【わかり味が深すぎる】「推し、燃ゆ」宇佐見りん

私が初めて読んだ宇佐見作品は「かか」

ellery0y.hatenablog.com

それに続いて読んだ「推し、燃ゆ」

こちらは第164回芥川龍之介賞を受賞し、2021年本屋大賞9位にもなっています

やはり私はこの作者さんの表現力が好きだ

 

私は文学作品には疎いので毎度のことながら簡素な記録になると思うけど、つらつら書いていこうと思います

 

★あらすじ

ある病気(おそらく発達障害?)を持っていて自らの身体が負担になっている

そのうえ、徹底的に人間社会にも向いていない主人公あかり

 

そんなあかりが唯一生きがいを感じるのは子供の頃にテレビで観たアイドルグループ?まざま座に所属する「真幸」を推す事だった、不器用でも這いつくばるように人生を生きる事ができているのはこの推しのおかげだった

推しのためにバイトへ行き、ブログを書き、SNSで仲間と繋がる…推しはあかりの生命維持装置そのものだった

 

…が、そんな推しが女性を殴り炎上してしまう、そして脱退、浮上する女性関係…推しと共にあかりの生活も最悪な方向へと変化が起きていく

 

活力となっていた推しを失い非情な現実に取り残されたあかりが生きる道は…

 

 

★感想

推し「真幸」の衰退と共にあかりも高校中退、バイトをクビになり、嫌気が差した家族に追い出され孤立していく…まるで真幸とあかりがリンクしているようで、読んでいて辛い

あかりが真綿でじわじわ首を絞められるように追い込まれていく様には思わず「うわー、作者さんここまで追い込むかよ…鬼畜か」と呟いてしまったほど

 

あかりが真幸のように爆発して自宅で綿棒ケースを投げて暴れるラストはすっきりするようなしないような謎のモヤモヤが残る

我に返ったあかりは落ちて散らばった綿棒を一つ一つ拾うんだけど、なんだかそれが情けなくて…でも、綿棒を一つ一つ拾い続ける姿を想像するとまるでその不器用さが生きづらい人の人生のような気もした

 

一つ一つ拾っていった先に何があるのか分からないけど気力のない身体を引きずり虚しさを抱えて生きるしかないと諭されるような世知辛い作品だった

 

でもなあ…この本、好き嫌いが分かれる内容だと思う

推しに依存するあかりは現実逃避にも見えるし、社会不適合者だし…でも人っていくら立派な人でもペット、SNS、グルメ、家族、趣味…形は違えど何かに依存する生き物だからあかりの生き方を否定する事はできない…特に私は…

 

あと、推しに接する時だけは生きている実感が湧くあかりは村田沙耶香さんの「コンビニ人間」の主人公っぽいと思った

 

「推し、燃ゆ」「コンビニ人間」どちらも「普通に生きるの向いてないな」と思った事がある人にはぶっ刺さる本です

 

しかし、宇佐見りんさんの表現力ってすごいね

 

爪が伸びる、抜いても抜いても生えるムダ毛に対してあかりが嫌気がさす場面があるんだけど、その何気ない表現が秀逸

生きている自分の身体が重荷だし、現実を生きれていないのに身体は無駄に細胞を入れ替えて生きようとしている…そんな惨めさを感じさせる良い表現だ

 

これは読んで良かった…この作者さんの次作にも期待して待ってる 

 

 

ちなみにこの本の対極にあるのは「腐女子のつづ井さん」

推しを活力にして全力で生きてる、全オタクの聖書

ellery0y.hatenablog.com


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【星新一 訳】「竹取物語」【感想】

いわゆるかぐや姫だけどちゃんと原作を読んだことがないので、大好きな作家、星新一による「竹取物語」を読んでみました

といっても、かぐや姫のあらすじなんてほとんどの方が知ってる(知らないの私くらい)と思うので、ざっくりと記録しておきます

 

★あらすじ

竹取りじいさんのミヤツコが光る竹を見つけたらそこには小さく可愛らしい娘がいた

子供がいなかったミヤツコは妻のおばあさんと一緒に育て上げた

年頃になり美しく成長した娘は神主に「かぐや姫」と名付けられる

 

そして、美しい娘がいる事を聞きつけた男性達がかぐや姫に求婚をするのだが、かぐや姫はそれをたいそう嫌がり男達に無理難題を与える

 

「み仏の石の鉢」

「蓬莱の玉の枝」

「火鼠の皮衣」

「龍の首の玉」

「つばめの子安貝

 

この「そんなもんねーよ」と言いたくなるほどぶっとんだ品を手に入れるために男達は四苦八苦しながら挑む

 

男達の運命は?かぐや姫はどうして求婚を拒むのか?

物語の最後に待っているものとは…?

 

 

 

★感想

かぐや姫は月の人だから人間とは結婚できず、いつか育ての両親と別れるときが来る…切ない話なのに星新一が訳しただけあってブラックユーモアあり皮肉あり、なのに「竹取物語」の世界観は一切壊してないので安定感がありつつ新鮮な気持ちで読める1冊

 

原文も読めるので日本語の勉強にもなるし、一章ごとに星新一の感想や考察が読めるのも良い

また、星新一のSF感のある文章と昔の作品である「竹取物語」がマッチしてるのも凄い、やっぱかぐや姫が月の人という宇宙設定だからかな

 

言葉遊びも面白くて、例えば「つばめの子安貝はなかった」=「かいがない」とか、かぐや姫と男性達との和歌でのやりとりも絶妙にうまいダジャレが含まれている

竹取物語」が誕生した時代の人もこの手のギャグが好きだったんだなあと思いを馳せてしまった

 

 

しかし改めて竹取物語読んでみると、3年もかかってかぐや姫が欲しがる品を探しに行く男性達はアクティブだな

私だったら3年もかかる時点でかぐや姫の事は諦める…めんどくさいから

 

ミカドが登場してから感動のフィナーレへ…って感じの展開になるけど

竹取物語のハイライトはけして手に入らない物を知恵を巡らし手に入れようとしたり、時にはかぐや姫を騙そうとする男性達の空回りっぷりだと思う

 

5人の男性達の根性を感じる、そしてそれを一蹴する星新一のツッコミが笑える新鮮な名作

 

↓私の本屋的なもの、今まで読んだ本を随時更新していきます。

ちなみに、私の好きなお菓子とゲームもありますがそこはお気になさらず

room.rakuten.co.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【和菓子の甘さ、人生のほろ苦さ】「和菓子のアンソロジー」坂木司編

「和菓子のアン」の著者の坂木司さんがいろんな作家さんにリクエストした和菓子がテーマのアンソロジー

 

個性豊かな作家さんによる甘いミステリー、甘いコメディ、甘いコメディ、甘い怪談…色んなジャンルのお話がぎゅっと1冊に詰まっているアンソロジー

 

甘いもの好きの私としてはヨダレの止まらない一冊だった

この本は10篇からなるアンソロジーとなっており、1話目は坂木司さんの「和菓子のアン」のスピンオフ的な描き下ろしが収録されています

 

私が特に好きな作品をピックアップして簡単なあらすじと感想を記録していきたいと思います

 

「空の春告げ鳥」坂木司

「和菓子のアン」スピンオフ

正月にデパートの「駅弁大会」という駅弁の催し物会場に行くことになったアンちゃん、なにげなく覗いた和菓子屋さんで和菓子の知識皆無の店員さんに文句をつける一人の男性客がいた

「いつまでこんな飴細工の鳥を置いておくつもりなんだ」と男性は謎の言葉を吐き捨て去っていったのだが、アンちゃんはもやもやとする…

飴細工の鳥」ってどういう意味?バイト先の和菓子屋の仲間達に事の顛末を語るアンちゃんだがこの謎は解けるのか?

 

★感想

こちらは「和菓子のアン」で読んだような和菓子の専門用語を使ったミステリー要素はもちろん、ただクレームをつけているように見える男性の和菓子への熱い思いが伝わる話だった

飴細工の種類についても勉強になったし、なにより相変わらず立花さんが乙女で可愛いくて、旧正月のイベントで中国グルメを食べるアンちゃんの食レポが最高だった

とにかく小籠包を食べたい…

 

「トマどら」日明恩

一見冷徹に見える財務捜査官の宇佐見だが、実は甘い物が大好き

同僚に苦い目で見られがちな彼は今日も行きつけの和菓子屋へ行く、しかしそこのおかみさんに娘の里香が悪い男に騙されているので解決してほしいという話をもちかけられる

いや…刑事といってま財務捜査官なのだから捜査はちょっと…と思いながらも美味しいどら焼きに惑わされてズルズルと…

 

★感想

どら焼き美味しそう…っていうのは置いといて

こちらは、きちんとしたミステリーとなっていて謎解き要素はないけれど楽しく読めた

里香の姉の文子が善人すぎてミステリーとしての面白さはもちろん、ヒューマンドラマとしての感動も味わえる良いお話

 

 

「チチとクズの国」牧野修

借金を抱え人生に疲れた主人公「ぼく」は自殺を考えた

しかしそんなぼくの前に死んだはずの父親が幽霊となって現れる

腰を抜かすほど驚くぼくだが、父親は言う「甘いもん食いてえ」

 

★感想

これは本当に面白かった

主人公のお父さんがとにかくガバガバテキトー野郎すぎるうえに、寒いギャグを飛ばしまくるんだけど、人生に疲れ自殺がテーマのこの話が暗くならずに済んでいるのがなんともバランスが良くて読みやすい  

 

生前に好き勝手やって亡くなったお父さんだけど、死してなお息子を想う気持ちが伝わり暖かい気持ちになるし「生きたモン勝ち」そんな言葉が脳裏をよぎる話だった

ただし、息子の救い方はかなりギャグ要素満載…

 

「糖質な彼女」木地雅映子

アイドルのりりちゃん大好きな引きこもりのヒロくん

母親に連れられた精神科にて若い医師に煽られてキレて診察室を飛び出した

母親を振り切り病院をうろついているとヒロくんに一人の女の子が話しかけてきた

上生菓子、一緒に作りませんか?」その女の子はりりちゃんだった

 

★感想

これ語りは軽い作品だけど、精神病、精神疾患患者の作業所、果てはSNSが発達してよく聞くようになったいわゆる毒親というものに関して考えさせられる内容だった

 

タイトルからして詳しい方なら分かるかもしれないが「糖質」はいわゆる「統合失調症」をもじったモノ

統合失調症はその症状ゆえに避けられやすいけど、この作品では統合失調症患者の症状があくまで自然体で描かれていて感心した

 

そして最後に煽り医師が良い仕事をしていて精神病という重い題材の作品にも関わらずほっこりとした気持ちで読み終えた

 

「古入道きたりて」恒川光太郎

杉本は釣りをするために長門渓谷にいたのだが、突然の雷雨に見舞われ、一人の老婆が住んでいる古民家に泊まることになった

その夜、杉本は山よりも大きな巨人を見かける

朝、老婆はその巨人は「古入道」だと説明し、美味しいおはぎを食べさせてくれた

 

そんな過去の話を杉本に聞かせてもらった七尾

「んで、どうなったんだ」と話を促す七尾だが「それで終わり、家に帰ると赤紙がきていてな」と不思議な体験話を切り上げた

時は第二次世界大戦、二人は敵兵に追われて岩場の洞窟にいたのだ

 

★感想

この話もかなり重いテーマだけど、第二次世界大戦が終わり40年も立った時に七尾が長門渓谷を訪れるという展開が良かった

戦争の悲惨さはもちろん、死者の想いを継いでいくという、繋げていく事の尊さを思い知る

 

あと、おはぎは秋だけの呼び名で、春は牡丹餅、夏は夜船と言う事を初めて知った

 

★まとめ

タイトルに書いた通り、甘い和菓子にほろ苦い人生が描かれている

「和菓子のアンソロジー」表紙だけ見ると、可愛らしい本のように思えるけど、どの話も和菓子の甘さに対してうまくいかない人生の苦さの対比が特徴的な1冊だった

 

10篇から5話だけピックアップしてあらすじと感想を書いたけど、正直に言うとどの話も面白いし、謎解き度が多めのミステリーが多くて楽しく読めた

ミステリー、日常ミステリー、冒険物、暗号謎解き、コメディ、ヒューマンドラマとこの1冊だけで色んなジャンルの作品を一気に読めるし、どの作家さんも和菓子の味の描写が美味いしで読んで本当に良かった

 

白い丸い和菓子…中にはねっとりとしたあんこが入った松露、みかんが入った牛乳かん、可愛く彩られた上生菓子…全部この本に登場する和菓子だけど、あー…今すぐ食べたいなあ

 

【吉永小百合さんに癒やされ、天海祐希さんのかっこかわいさを見てほしい】「最高の人生の見つけ方」【映画の感想】

ホラーじゃないものをたまには観ようと思って、アマプラを漁ってると出てきた「最高の人生の見つけ方

この映画は元は洋画で、ジャック・ニコルソン(シャイニングの人)とモーガン・フリーマンが演じている作品の日本版リメイクとなっています

↑これ

こちらは数年前に金曜ロードショーかなんかで観た事があるので、日本版も観たいなあと思って視聴しました

 

★あらすじ

癌の余命宣告を受けた専業主婦として生きてきた70代の幸枝さん(吉永小百合さん)と、仕事一辺倒で生きてきた女社長まこさん(天海祐希さん)が出会い二人は友達になる

 

ある日、病院の中庭で二人で談笑していると一人の少女がやってきてタバコを吸おうとする

咎める幸枝さんに反抗する少女だったが、その場で苦しみ倒れてしまう

少女は持っていたバッグを落としたまま医師によって運ばれていった

 

少女の事が気になっていた二人は数日後、少女の病室に訪れるが少女の弟によって「お姉ちゃんは死んだ」と聞かされる

やるせない気持ちで幸枝さんが最後に少女が持っていたバッグを開ける

と、そこにはかわいくデコられた手帳が…

開いてみると「死ぬまでに叶えたい事リスト」と題をうたれ、少女の夢が記されていた

 

スカイダイビングをしたい

大金持ちになる

大きなパフェを食べたい

ももクロのライブに行きたい

大切な人にありがとうと伝えたい

好きな人に告白したい

ウェディングドレスを着たい

宇宙旅行に行きたい

 

少女の夢は未来への希望に溢れていた

 

幸枝さんが一時退院して家に帰るとそこには、だらしなく寝転んで洗い物すらしていない旦那さんがいた

幸恵さんは家事を済ませたあと、まこさんに電話をする

 

「あの子の夢を叶えてあげたいの」

 

二人は少女の夢を叶えるために壮大な旅に出た

 

一人の少女が二人の残された人生に華を添えるような物語

 

 

★感想

洋画版はおじいさんだったけど、こちらは天海祐希さんと吉永小百合さんというビッグな女優が演じていて、映画では女性ならでは…特に専業主婦として夫や子供を支え自分を抑えながら生きてきた幸枝さんの心情が伝わってくる

 

少女の夢を叶えるために旅に出た二人だったけど、旅を通じて過去と向き合い克服するまこさんと、自分の人生の意味を見つけ家族とすれ違っていた心を通わせていく幸枝さんの物語

 

映画の冒頭はロケットを宇宙に打ち上げる所から始まるから「なんじゃこりゃ」と思ったけど、最後まで観てこれは亡くなった二人へのとっておきのサプライズ、最後の夢を叶えるための重要な場面なのだと納得して心がじーんとした

それに、最後の重要な場面を冒頭に持ってくる演出も良かった

 

ただ洋画版と比べる事はしない方が良いと感じる、こちらはこちらで別物として観るのが正解

 

まこさんの最期が少しおざなりではないかと思ったものの、スカイダイビングをしたり、ももクロのライブの舞台にあがり「キャッホー」ってなってる幸枝さんとまこさんは無邪気で可愛いらしいし

もののふとしてサイリウム持ってオタ芸するまこさんの秘書(ムロツヨシさん)が面白くて良い役回りをしています

感動するだけではなく、笑いどころもある良映画!アマプラで観れるのでぜひ!

 

〜【駄文】私の死ぬまでに叶えたい事リスト〜

 

ちなみに、自分が死ぬまでに叶えたい事は何だろうと考えてしまって、まだまだ先の事だと思うけど私もリストを作ってみた

 

モルジブでシャークケージに入りあわよくばホオジロザメを触りたい

バンジージャンプしたい

スカイダイビングしたい

気球に乗りたい

乗馬したい

海外で美味いもの食べたい

クリスマスのプリンスエドワード島に行きたい

子供用ダノンヨーグルト(にんじん&クリームチーズ)をたらふく食べたい

ぶちのめされる覚悟はあるので強い人と麻雀打ちたい

リアル麻雀で天和を和了りたい

最強クラスの心霊スポットに突撃して本当に幽霊はいるのか検証したい

吉本新喜劇に出たい

山に住んで野菜を作り肉を狩り自給自足したい

世界中の可哀想な動物を少しでも救いたい

 

うん……叶えられなさそうだな…

 

ちなみに、死んだ後もやってみたい事はある

 

死後も魂があるのか確かめたい

幽霊になれたら人を驚かして怪談家に語り継がれたい

幽霊になって悪い人間(犯罪者とか)を呪ってやっつけたい

幽霊になってしばらく雀荘に住み着きたい

閻魔大王が色白かどうか確かめたい

あの世で待っているであろう猫2匹とインコとイタズラ好きの祖母と私で鬼を追いかけて遊びたい

虹の橋のたもとにいる可哀想な動物をみんな天国に運ぶ

キリストとブッダがいるのか確かめて、もしいたら天上の神はなぜ罪のない人や動物を助けないのか聞いてみたい

賽の河原の子供を助けたい

小島武夫と麻雀したい

亡くなった海外のロックミュージシャンを集めてフェスしたい

 

うーん…(-_-;)