読書人間の電子書斎

〜今まで読んだ本を記録して自分だけの図書室を作るブログ〜

バッタを倒しにアフリカへ 前野・ウルド・浩太郎

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アフリカはバッタが大量発生し未曾有のピンチに陥っていた…

しかし、その大地に緑の衣を身にまとった男が降り立った


「さあ…貪り食うがよい…」

 

 

☆あらすじ

 

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著者の夢はファーブル(昆虫博士)になること。

 

しかし、そんな甘い夢も大学の研究生の年季には抗えない

そして著者は思い出した。

 

「こどものころはバッタに食われるのが夢だったじゃないか」


そのころ、アフリカは未曾有のバッタ大量発生で作物があらされており

不毛の地と成り果てていた。

 

著者は思った。  

 

「アフリカでサバクトビバッタの研究をすればいい」

 

そしてその論文が認められれば夢の昆虫博士にもなれるし

アフリカも救うことができる……!!

 

☆感想

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バッタの性質などを詳細にまとめてある著者の実験は読んでて

へえー、こんな方法で研究するんだなーとちょっとした勉強になる。

 

バッタって面白い。

群れの個体を群生相でまだら模様、単独を孤独相で緑

とりまく環境で体色が変わる。


また、天敵から身を守るためのバッタの要塞となる植物選び

天敵がやって来たときの回避方法など

今まで気にもしなかったバッタの生態が分かりやすい写真と

さくらももこのような面白い文章で笑いながら楽しめる。


論文を仕上げるにはこんなに細かくて繊細なところまで虫達を観察しなきゃいけないし、

かなりめんどくさい手続きもある、それを苦もなくこなす著者に脱帽。


アフリカの文化も愉快に知ることができるのでそこにも注目。

意外とアフリカって虫の研究が進んでるんだなと初めてこの本を読んで知った。


そして、メインは

バッタに食われるため緑の全身タイツを身にまとった

著者の大爆笑せざるおえない姿…

これは、見てほしい。威風堂々としている。

 

 

でも

博士になるには色々な課程を乗り越えて手にいれなければいけない。

しかも年齢もギリギリ…途中はバッタにまで見放され

研究対象を変えようとさえしたが

著者はバッタへと情熱を諦めることができなかった。

 

大学からの研究費が尽きても、自腹をきり

ギリギリまで追い詰められる…まわりはみんな幸せになっていく

それでも著者の夢だけをただ、ひたすらに追いまくる姿勢は

読んでいて勇気付けられた。

 

バッタや虫が好きでひたすらに追い続ける著者の姿勢が

回りの人たちも変えて行く。

なりふりかまわず夢に食らいつく姿が著者の回りの人だけではなく

著者のブログを読んだネットユーザー

そしてこの本を読んだ読者に勇気を与えてくれる。


今の時代、夢なんて追ってもムダ…という人は多い。 

たしかに夢は叶うかもしれない叶わないかもしれない

でもやってみなけりゃ分からないじゃないか! 

後悔なんてバカらしいぜと著者に言われている気分だった。


私も小さな小さな夢だけど叶えるために1歩を踏み出してみようかな?

と、思わせてくれた作品。