読書人間の電子書斎

〜今まで読んだ本を記録して自分だけの図書室を作るブログ〜

3月後半から4月に読んだ本まとめ②「怖い話」福澤徹三 「眠れなくなる夢十夜」

3月後半から4月に読んだ本まとめ①の続きです

②ではホラー感のある本ばかりをまとめてみました

 

「怖い話」福澤徹三

こちらは、心霊系の怖い話というよりは巷にはびこる都市伝説、刑罰や文化、著者の怖いと感じる物や実際に遭遇した怖い話などのリアルな体験談を集めたエッセイ

 

★感想

個人的に怖いと思ったのは、ゴキブリの浮かんだスープを使ったラーメン屋のバイトの話は想像するだけで鳥肌モノ

あと消費者金融系の怖い話とかは、やけに著者が金関連の修羅場に慣れている感じなので別の意味の怖さを感じた

 

ただ、少し物申したいのは著者の怖いと思う虫の話で「オオミズアオ」という蛾がピックアップされていたのだけども、私はオオミズアオはむしろきれいと感じるので同意できなかった

蝶や蛾の画像が平気な人は一度検索して見てほしい、発光するような青が幻想的ですよ

 

最後の方に怪談が収録されているけど、読み手は20話にわたってさんざん世の中の闇を読まされるので幽霊話が怖く感じなかった

 

著者がギリギリを体験した人にしかわからない思想を持っていて個人的にはそこが1番の恐怖ポイントでありつぼだった一冊

 

「眠れなくなる夢十夜

夏目漱石の「夢十夜」にならって「こんな夢を見た」から話が始まる夢と現の境を彷徨うような不気味な話を集めた10話からなるアンソロジー

まず思ったのは、阿刀田高さん、西加奈子さん、道尾秀介さん、あさのあつこさん、小池真理子さんなど…集まった作家さんのデッキが強すぎる

麻雀なら最初の配牌がメンチン二向聴レベル

 

この10話のなかで私が個人的に好きな4つの話のあらすじと感想をまとめてみる

 

①「厭だ厭だ」あさのあつこ

妻を亡くした夫が過去に愛した女性や、妻の久利子に思いを馳せる話

 

久利子は「厭だ」が口癖だった

 

望んでいない結婚、子供を愛せず、何よりも夫に嫌悪感を持ったまま亡くなっていった…そんな妻を哀れに思っていた夫だったが、夢の中に久利子が出てきて「このまま、逃げませんか」と言う

 

それは結婚初夜に久利子が夫に言った言葉だった

 

★感想

他人が見ていても分からない、夫婦当事者の複雑な関係が描かれていて泣ける

生きている時にもっと話し合うべきだったし、夫も久利子の「逃げませんか」という言葉から逃げるべきではなかったと思うけど、人間ってその時の感情とかタイミングや立場だとかで動けない時がある

大切な人が亡くなってから、こういう、積み重なった後悔が残るんだよなあと思わされた話

たとえ夢の中だとしても二人が救われて良かった

 

②「盲蛾」道尾秀介

あるひとりの盲目の女性に売春をさせて金を得るダメ男の話?時代も国もわからない…夢か現実かもわからない、そんな世界観から話は進んでいく

 

★感想

私には解釈が難しい話だけど…弱い立場であるはずの盲目の女性が、自分を売っている男を愛している

でもその愛が男をがんじがらめにし、男が追い詰められていく様が恐ろしく感じた

そして、衝撃の結末

逃げようのない牢獄に閉じ込められた男が自業自得なようなかわいそうなような不思議な話

 

③「翼」小池真理子 

妻のいる彼を亡くした「わたし」の話

最愛の愛猫ミロを亡くし、ミロのあとを追うように亡くなった彼

勤めをやめ、彼の妻に罵倒され、葬儀もろくに行えず残されたわたし

例えようのない孤独の中で彼と出会う夢を見た

 

★感想

最初は「なんだ、不倫かよー」読み進めるも、まさかのファンタジー感のある結末へいざなわれる

私はこれがハッピーエンドかは分からないけど「わたし」がこれでいいのなら…良いのかなあ…

綺麗事ではすまない、負の部分の恋愛模様が短い話にぎゅっ詰まっていた

 

④「輝子の恋」小路幸也

輝子は寿命を向かえていた…死ぬのだなと思った矢先に夢を食べるという妖怪「獏」が現れた

獏は輝子の人生で思い残した事を最期に叶えてやると言う

そして、輝子は過去に戻り18歳の時に恋をした若宮さんにもう一度出会う事になる

 

★感想

甘酸っぱい恋愛ものだった

二人の男性の間で揺れる輝子の苦悩にハラハラするけど、登場するキャラの真っ直ぐさや、純粋さが心に染みる、これこそボーイミーツガールもの…と言いたい所だけど、いや!オチ!

輝子のお母さんが輝子の恋を助けるために「あんた、そこまでするか?」と言いたくなるレベルの仕事をする

結末に必ず驚く面白い話だった

 

 

「眠れなくなる夢十夜」はホラーというより、幻想的で美しい話が多くて浅い眠りの時に見る夢を追体験するようなアンソロジーだった

個人的に大当たりの一冊でした

 

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さあ、もう5月かあ…年々、時がすぎるのが早く感じる…

 

GWに突入するけど、特に予定ないし私は趣味の家庭菜園と衣替え、部屋の掃除をして過ごすつもりです

 

長編小説も読んでいきたいけど、横溝正史アガサ・クリスティあたりを再読していきたい気持ちがある

(この前「悪魔の手毬唄」読み終わりましたので、これも近いうちに感想書きます)