最近、ネット麻雀で国士無双に2回連続で振り込むという不運を味わったので、しばらくは麻雀から離れてひたすら本を読みたいと思って読んだ推理小説。
「五色の殺人者」鮎川哲也賞の受賞作
「?!」となるようなトリックが意外だった作品。
★あらすじ
介護施設「あずき荘」の利用者、姫野一郎が後頭部から血を流した死体として見つかる。
捜査にのりだした警察が、あずき荘の利用者5人に逃走した犯人の服の色の目撃証言を聞くが「赤」「青」「緑」「白」「黒」とみんなバラバラなのだ。
服の色を見間違うには無理があるし、凶器もないので捜査は困難を極めていたが、やがてあずき荘の利用者、藤原和子の孫、藤原イツキに嫌疑がかかる。
それに納得のいかない職員のメイとハルは藤原の嫌疑を晴らすために独自の捜査に乗り出すことにした。
★感想
ひっさしぶりに謎解き要素が強い新本格ミステリー読んだって感じがする
メイがミステリー小説好きなキャラで探偵役なのも良い
謎解きに関しても介護施設が舞台っていうのが新鮮で「お年寄りだからこそ」おこる違いをうまく使ったトリックだった
話の随所に手がかりが張り巡らされているので常に気を配って読んでいないとこの作品の謎を解くことはできない、それほど緻密に考えられたトリックだった
また、登場人物に感情移入し始める物語中盤から意外な人物がとんでもない目に合ったり、読者を盛大に騙すような解答編など最後の最後まで「あっ」と驚かされてしまう展開の連続で一切気が抜けない推理小説だった。
でも、登場人物の会話がライトだし結構コミカルな場面もあるので話が暗くなりすぎなくて良い味を出している。
そして、毎度のことながら私は推理小説好きなのに謎を解くことができなかった。
私としてはお年寄りは緑を青と言ったりするので、まあそんな感じの言い方の違いで犯人の服がややこしくなってるだけじゃないのか?と思って推理を進めながら読んでいたんだけども完全に意表を突かれたし、消えた凶器に至ってはわからなかったし、最後の登場人物の名前なんか普通に引っ掛かった。
ただ、バラバラだった手がかりがまとまりを見せて真相が明らかになったときのすっきり感ははんぱない。
著者が出した手がかりをパズルのような感覚で組み上げて謎解きを楽しめる鮎川哲也賞にふさわしい良き1冊だった。