【夏の怖い本祭り2021第三弾】「ぼっけえ、きょうてえ」岩井志麻子
5時に夢中で下ネタを繰り出しまくるあの岩井志麻子さんのデビュー作品
この作品、6年くらい前に読んだんで内容はうっすらと、覚えてる程度なのですが印象的だった話をさらりと記録していきます。
これは短編になっていて
表題作の「ぼっけえ、きょうてえ」
閉鎖的な村の怖さが特徴的な「密告函」
「あまぞわい」(あらすじ忘れた)
兄妹のおぞましい秘密「依って件の如し」
の、4篇になっています。
表題作と印象的だった話のあらすじと感想
「ぼっけえ、きょうてえ」
醜い遊女の生い立ちを寝物語として聞く男の話
生まれつき醜かったその遊女は親が産婆を生業にしていたのだが、堕胎をする手伝いをしていた
その堕ろし方は時代が時代だったためにとても残酷で
幼い遊女は堕胎され死に絶えた胎児を何人もみてきた
なぜ、育てられないのに産むのか
一見、心を痛め嘆いているようにも思える遊女に同情するのだったが、遊女が自らの顔の秘密を明かしたとき、男は身の毛もよだつ恐怖に襲われる
★感想
岡山弁だけで展開していくのだけども、その方言がまた話の生々しさに拍車をかけていて良かった
怖いというよりも、人の本能の醜さのせいで犠牲になる者の末路が全面に押し出されていてどちらかというと、気持ち悪さを感じた
「依って件の如し」
母親が発狂して亡くなり兄と妹だけで村の隅で暮らしている
母親が牛の妖怪のような生き物に襲われている所を見た妹
それを隠そうとしている兄
この兄妹にはある秘密があった
★感想
あらすじは本当にこれだけしか書けない
なぜなら、この話の怖さは最後の数ページに凝縮されている
ただ、私がこの作品を読み終わったあとの気分を一言で記録させてもらうと
「忌まわしい」
これだけ
寒気がするような結末だった。
★まとめ
この作品全体が閉鎖的な村をテーマにした内容となっていて、怖いというよりも、閉鎖された世界で生きている人間の欲望の気持ち悪さや、嫌悪感がじっとりと描かれている印象を受けた
岩井志麻子さんはTVではフランクな下ネタの感じだけど、闇の深く重い話を鋭い洞察力で書く方なんだなと…見る目が180度変わった作品