読書人間の電子書斎

〜今まで読んだ本を記録して自分だけの図書室を作るブログ〜

【祝!200話達成!】「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」谷川ニコ

今月のブログ閲覧数1000pv突破しました!ありがとうございます🙇

 

いや、今までだとこの閲覧数はあり得なかったので目を疑いました…めちゃくちゃ嬉しいです

マイペースに更新していきますので、適当によろしくお願いいたします!

 

そして、私が最近読んだ本は

谷川ニコ先生の

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」22巻

 

★「わたモテ」のざっとしたあらすじ

高校生になると必然的にモテると思っていた黒木智子(もこっち)←あだな

しかし、現実の学校生活はそんなに甘くない、もこっちは、ぼっちのまま1年を過ごす

1〜4巻までは、もこっちの痛い生態が描かれていて読んでいて「うっわ…」と思うシーンも多く5〜7巻で脱落した読者も多かったらしい

 

…が、高校2年に上がってから環境は変わり修学旅行をきっかけに、もこっちを取り巻く環境が変化してきた

修学旅行で同じ部屋だった同級生と不器用ながらも距離を詰めライン交換をしたり、いつもぼっちだったもこっちを気にかける同級生が現れ友人が増えていく

 

さらに3年に上がると、修学旅行と同じ部屋だった子や、もこっちを気にかける同級生が友達になり同じクラスになり、そこから友達の友達へ…と交友関係が広がり、いまや女の子ばかり登場するちょっとした学園系百合漫画になっている

 

↓「わたモテ」をもっと知るには、滅びゆくじじいさんのブログがおすすめなのでリンク貼っておきます

horobijiji.blog.fc2.com

 

★22巻のあらすじ

22巻では200話ということもあり、読者から募集したベストコンビ5組のお話が収録されている

 

個人的にツボだったのはもこっちと内さん(修学旅行で出会った子)の話

私的にはもこっちはガードが固い子なのかなと思ってたんだけど、もこっちに歪んだ愛を傾ける内さんが「ラブホ勉強会しよう!女同士だしいいじゃん!勉強だけだから!」という押しにのっちゃうという…もこっちって意外にもちょろいんだなと心配になった

(大学で悪い男に引っかかるなよ…)

 

田村(修学旅行で友達になった子)と根元(もこっちを気にかけてた声優志望の女の子)の話も意外な組み合わせで好きだった

ふだん感情を表に出さない田村さんの「大人になっても友達みんなで暮らしたい」という夢がなんか嬉しかった

 

あとは、文化祭の映画を撮るのがメインになってる22巻

まあ、おまけ話が多かったかなーという印象です

 

★感想

1巻から痛々しいもこっちを見守ってきた側としては、暗かった妹が明るく成長していくのを見ているような気がしてきて微笑ましくなる

だって、誰にも相手にされてなかった空気のようなあの女の子が友達とクリスマスパーティーとかして、文化祭のアイデア出して打ち合わせして脚本書いて映画撮るまでになってるんだからこれが嬉しくなきゃなんだってんだ

 

22巻でも、映画撮りつつもエグい下ネタは健在

もこっちのモノローグが減り、その代わりにもこっちの友達同士の人間関係が最近はよく描かれてるよなーとも感じた

 

あと、女子友達がふえたせいか女子特有のイヤ〜な話もあったりして、その辺の心理描写が流石だな、さすが谷川ニコだなと言わざるおえない

(作画の方が女性だから余計にリアルなのかも)

 

もこっちの弟、智貴とあかりちゃん、便所コオロギ(小宮山さん)の三角関係も気になるところ

 

23巻に期待しよう!

 

あと私、もこっちの抱きまくらカバー手に入れそこねて軽く絶望してます、また再販してほしい…

 

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【追記】

近いうちに「歪みの国のアリス」という昔プレイしたアプリをまたやり始めたのでサブブログで語りたいと思います

そちらもお願いいたします!

 

 

 

 

 

 

 

 

孤独のグルメのもっと孤独なやつ「鬱ごはん」3巻 施川ユウキ

最初にこの漫画に出会い読んだのが確か5、6年前

大学を出るが、就活失敗

フリーターを続け、焦りを感じながらも就活はしたくない

その日をだらだらと潰しながら過ごす毎日を送る「鬱野たけし」

 

そんな彼の楽しみはいちおう、3食のご飯

 

…だけど、生来の彼のネガティブ思考のせいか、食を自分の人生に例えて悲観的になったり、コミュ障ゆえ挙動不審になったり、食にありつけても素直に楽しめず世界一まずそうに悲壮感と悲哀を込めそれでいてなんか汚い食レポをする漫画

 

1巻、2巻はけっこう社会不適合者という面が押し出されどうしようもない人間として描かれていた

不器用でうまく生きれない彼になんだか共感して読み出した作品です

 

だけど、3巻になると少し様子が変わってきて「おっ」と思ったのでここに感想を書くことにしました

「鬱ごはん」3 施川ユウキ

★あらすじ

3巻になるとたけしは三十代に突入

1巻、2巻の時はネガティブな自分に酔っているのでは?と感じる描写が多々あったけど、3巻ではなんだかたけし自身がだめな自分の現状を受け入れてるように感じた

 

体を鍛えたり、沖縄での結婚式のついでに沖縄観光したり、温泉旅行に行ったり、鼻毛脱毛したり…相変わらずたけしのネガティブ思考は健在だけど、それでも1、2巻と比べれば自分のペースで少しずつ楽しみを見い出しているのでは…?

 

★感想

 

なにより感じた事はたけしが「食」を楽しめるようになっている

 

身近な食べ物をはじめ、食べたことがない食べ物(アヒージョ)に挑戦したり(コッペパン専門店に朝イチで行ったり)、ウインナーの一番美味い食べ方を試したり、お酒もしっかり嗜んでいる

 

まあ、それでも生来のネガティブ思考は変わらないけど、たけしは満足してないだろうけど、私にはたけしが自由気ままに食ライフを満喫してるように見える 

 

仕事は先延ばしたが死ぬほどの悩みはない、自分中心の世界「こんなのもいいのでは?」と思ってしまう3巻だった

 

しかし、この作者さんはなぜこんなに陰キャ独特の思考回路を言語化するのがうまいんだろう?

陰キャ、コミュ障がストレスに感じる事を的確に突いていく

 

さよなら絶望先生」の久米田康治先生に続いて新しい天才を発見した気分だ

 

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4巻も読んだので近いうちにまた、感想をアップします(◍•ᴗ•◍)

 

 

 

気分の悪くなる児童文学「にんじん」ジュール・ルナール

久しぶりの投稿

 

梅雨の低気圧と不眠症にやられて、しばらく動けないでいたけどなんとか復活

読んだ本もたまりまくってるので、少しずつここで記録をつけていけたらいいなあ

 

ということで

童話みたいなもんだろうと軽い気持ちで読んだら、かなり気分の悪いものでした…

 

☆あらすじ

髪が赤いからにんじんと呼ばれている少年にんじんの家族との日常を描いた物語(この作品の作者ルナールの自伝的小説)

 

だけど、母親が典型的な毒親

兄弟間差別や、にんじんへの人格否定、おもらしをしたらその尿を飲ませるなどの虐待を加える

 

にんじんは自分が悪い子だからと思い込みうまくやろうとするけれど、その思いは母親にはいっさい届かず、徐々に歪んでいく様がゆったりと綴られている

 

☆感想

短い話で展開していくので読みやすいのだけどもとにかく重く読み進めるのが苦痛

 

ほのぼのした家族の日常を描いているのに母親の存在が異分子すぎて日常に潜む違和感を描いたホラー小説みたい

末弟のにんじんを餌食にしていじる事で家族がワイワイするという学校でのいじめに通ずるものがある

 

ストレスのせいで、にんじんが動物を殺したり破壊衝動を抑えられなくなったり…だけど、学生寮でのとある出来事から愛情を欲してるようにも感じるし、アダルトチルドレンができていくさまを見ているようでおぞましくなったし悲しくなった

 

これが現実の世界で今でも起きてるんだよな

 

たぶん、にんじんの母も人間として何か欠落した親に育てられたからこうなったのか?自分がされた事を子供にもするっていう負のループ

 

おもらしのエピソードに関しては、幼少期のおもらしはいわゆるシリアルキラーと同じ特徴でもあるから、そういう人間を作る環境ってこの作品の環境に近いと思う

 

ラストは母親に洗脳されつつも、今の状態を脱却したいという意思を感じた

にんじん(ルナール)が作家として成功したという事は、この母親の存在を振り切ることができたのだろうか

 

 

3月後半から4月に読んだ本まとめ②「怖い話」福澤徹三 「眠れなくなる夢十夜」

3月後半から4月に読んだ本まとめ①の続きです

②ではホラー感のある本ばかりをまとめてみました

 

「怖い話」福澤徹三

こちらは、心霊系の怖い話というよりは巷にはびこる都市伝説、刑罰や文化、著者の怖いと感じる物や実際に遭遇した怖い話などのリアルな体験談を集めたエッセイ

 

★感想

個人的に怖いと思ったのは、ゴキブリの浮かんだスープを使ったラーメン屋のバイトの話は想像するだけで鳥肌モノ

あと消費者金融系の怖い話とかは、やけに著者が金関連の修羅場に慣れている感じなので別の意味の怖さを感じた

 

ただ、少し物申したいのは著者の怖いと思う虫の話で「オオミズアオ」という蛾がピックアップされていたのだけども、私はオオミズアオはむしろきれいと感じるので同意できなかった

蝶や蛾の画像が平気な人は一度検索して見てほしい、発光するような青が幻想的ですよ

 

最後の方に怪談が収録されているけど、読み手は20話にわたってさんざん世の中の闇を読まされるので幽霊話が怖く感じなかった

 

著者がギリギリを体験した人にしかわからない思想を持っていて個人的にはそこが1番の恐怖ポイントでありつぼだった一冊

 

「眠れなくなる夢十夜

夏目漱石の「夢十夜」にならって「こんな夢を見た」から話が始まる夢と現の境を彷徨うような不気味な話を集めた10話からなるアンソロジー

まず思ったのは、阿刀田高さん、西加奈子さん、道尾秀介さん、あさのあつこさん、小池真理子さんなど…集まった作家さんのデッキが強すぎる

麻雀なら最初の配牌がメンチン二向聴レベル

 

この10話のなかで私が個人的に好きな4つの話のあらすじと感想をまとめてみる

 

①「厭だ厭だ」あさのあつこ

妻を亡くした夫が過去に愛した女性や、妻の久利子に思いを馳せる話

 

久利子は「厭だ」が口癖だった

 

望んでいない結婚、子供を愛せず、何よりも夫に嫌悪感を持ったまま亡くなっていった…そんな妻を哀れに思っていた夫だったが、夢の中に久利子が出てきて「このまま、逃げませんか」と言う

 

それは結婚初夜に久利子が夫に言った言葉だった

 

★感想

他人が見ていても分からない、夫婦当事者の複雑な関係が描かれていて泣ける

生きている時にもっと話し合うべきだったし、夫も久利子の「逃げませんか」という言葉から逃げるべきではなかったと思うけど、人間ってその時の感情とかタイミングや立場だとかで動けない時がある

大切な人が亡くなってから、こういう、積み重なった後悔が残るんだよなあと思わされた話

たとえ夢の中だとしても二人が救われて良かった

 

②「盲蛾」道尾秀介

あるひとりの盲目の女性に売春をさせて金を得るダメ男の話?時代も国もわからない…夢か現実かもわからない、そんな世界観から話は進んでいく

 

★感想

私には解釈が難しい話だけど…弱い立場であるはずの盲目の女性が、自分を売っている男を愛している

でもその愛が男をがんじがらめにし、男が追い詰められていく様が恐ろしく感じた

そして、衝撃の結末

逃げようのない牢獄に閉じ込められた男が自業自得なようなかわいそうなような不思議な話

 

③「翼」小池真理子 

妻のいる彼を亡くした「わたし」の話

最愛の愛猫ミロを亡くし、ミロのあとを追うように亡くなった彼

勤めをやめ、彼の妻に罵倒され、葬儀もろくに行えず残されたわたし

例えようのない孤独の中で彼と出会う夢を見た

 

★感想

最初は「なんだ、不倫かよー」読み進めるも、まさかのファンタジー感のある結末へいざなわれる

私はこれがハッピーエンドかは分からないけど「わたし」がこれでいいのなら…良いのかなあ…

綺麗事ではすまない、負の部分の恋愛模様が短い話にぎゅっ詰まっていた

 

④「輝子の恋」小路幸也

輝子は寿命を向かえていた…死ぬのだなと思った矢先に夢を食べるという妖怪「獏」が現れた

獏は輝子の人生で思い残した事を最期に叶えてやると言う

そして、輝子は過去に戻り18歳の時に恋をした若宮さんにもう一度出会う事になる

 

★感想

甘酸っぱい恋愛ものだった

二人の男性の間で揺れる輝子の苦悩にハラハラするけど、登場するキャラの真っ直ぐさや、純粋さが心に染みる、これこそボーイミーツガールもの…と言いたい所だけど、いや!オチ!

輝子のお母さんが輝子の恋を助けるために「あんた、そこまでするか?」と言いたくなるレベルの仕事をする

結末に必ず驚く面白い話だった

 

 

「眠れなくなる夢十夜」はホラーというより、幻想的で美しい話が多くて浅い眠りの時に見る夢を追体験するようなアンソロジーだった

個人的に大当たりの一冊でした

 

ーーーーー

さあ、もう5月かあ…年々、時がすぎるのが早く感じる…

 

GWに突入するけど、特に予定ないし私は趣味の家庭菜園と衣替え、部屋の掃除をして過ごすつもりです

 

長編小説も読んでいきたいけど、横溝正史アガサ・クリスティあたりを再読していきたい気持ちがある

(この前「悪魔の手毬唄」読み終わりましたので、これも近いうちに感想書きます)

 

 

 

 

3月後半から4月に読んだ本まとめ①「ももこのいきもの図鑑」さくらももこ 「小さなトロールと大きな洪水」トーベ・ヤンソン

3月後半から少し疲れ気味(急に寒くなったりしたからかな?)で、あまり長い本を読めなかったので、阿部寛のホームページ並に爆速で読める本ばかりを読んでました

 

 

4冊ほど読めたので、記事を2つに分けて読書記録をぼちぼちマイペースに付けていこうと思います

 

かなりさらっとした簡潔な感想です

 

「ももこのいきもの図鑑」さくらももこ

さくらももこが子供の頃から、飼ってきた昆虫や動物などの短いエピソードがイラスト付きで添えられているエッセイ

 

メジャーな昆虫(カブトムシやセミ)だけでなく、ぱっとしない地味な虫(イトミミズ、カメムシなど)を観察して独自に解釈してるのが面白い一冊

 

★感想

さくらももこが身近にいる生き物について面白おかしく語るエッセイだけど、誰しもが子供の頃に触れたことのある昆虫や動物の思い出話ばかりだから、懐かしさがこみ上げてきて面白いやら切ないやら不思議な気分になった

 

なかでも、ホタルのエピソードが印象的、私も保育所で先生に箱に入れたホタルを見せてもらったことがあるのだけども、あの幻想的な光が今でも忘れられない

今ではあまり見れないんだろうなあと寂しい気持ちにもなる

 

また見てみたいなあ

 

「小さなトロールと大きな洪水」トーベ・ヤンソン

ムーミンシリーズのエピソード0という位置づけの本作は、第二次世界大戦終戦直後に出版された

 

行方不明になったムーミンパパを探しにムーミンママとムーミンが過酷な環境を乗り越え、個性豊かなキャラに出会い仲間になりながら話が進んでいくというある種RPGのような展開で進んでいくのが面白い一冊

 

★感想

ただ、ひたすら癒やされた

 

ムーミンママが意外にも強気で毒舌なのも笑ったけど、荒波にもまれ命の危険をかえりみずにムーミンパパを意地でも探す姿を見てると「ムーミンママってほんとにムーミンパパの事が大好きなんだなあ」と優しい愛情を感じた

 

次々と登場するキャラは魅力的(とくにスニフ)だし、チューリッパという少女や赤い髪の少年などの人間キャラも初期のムーミン童話には登場してたんだ…

 

挿絵もたくさんで見てるのが楽しい

ムーミン初期の絵柄はあんまり可愛くないんだけど、妙に癖になる絵柄でじーーっと見てるとキモかわいい感じがする

 

ユニークな一冊だった

 

 

 

 

「ケーキの切れない非行少年たち」宮口幸治

3月に入って読んだ本

医療少年院で勤務をしていた著者のレポと言ってもいいような1冊

 

少年院、つまり犯罪を犯す少年達には大人に気付かれなかった知的障がいや発達障がいが隠れているという

タイトルの通り、ケーキを3等分できなかったり、発達障がいの特性のため身体をうまく使えなかったり、筒の中に入ったコルクを道具を駆使して取ることができなかったり融通が利かない

 

それゆえ周りと衝突したり、感覚のずれで学校などの社会からつまはじきになり犯罪を犯すようになる…という段階を大抵の非行少年たちはふんでるらしい

 

そこまではだいたい私も察していたのだけども、ある少年殺人犯が自分の犯した罪を「悪い事」と自覚していないどころか、自分が優しい人間だと思っていると言っていた事に驚いた

そんなことは海外の有名なシリアルキラーですら言わない

 

というのも、そういう少年の問題は

 

認知機能の歪み

 

に、あるらしい

 

例えば1例だけど…

 

声をかける→無視される

 

このような事があれば、一般の人なら「声が聞こえなかったのかな?」となるけど、歪みのある少年は「嫌われているんだ」という怒りに変わる

それが認知機能の歪みというらしく、これが欠如していると物事を理論立てて考える事ができなくなり犯罪という形になる

(キレやすい人の脳構造)

 

このように本書は非行少年たちの背景を掘り下げ、認知機能を改善する更生施設でのトレーニングを紹介していく内容となっている

 

★感想

とはいえ、私も発達障がい

 

いわゆる「多動性」はなく大人しいたぐいだったので周りの大人に気付かれずに大人になってから発覚した

 

だから、この少年達の感じる周りと感覚が違うのに誰も助けてくれない苦しみはわかる

この子達は健常者に見えるいわゆる「グレーゾーン」ってやつに近いのではないか…と感じた

 

発達障がいや知的障がいグレーゾーンは、誰にも気付かれずに「ただ変なやつ」と思われるだけで理解されず、厄介者扱いを受け最も苦しむのだけど、現状から言うと社会はグレーゾーンに理解があるとは言い難いよなあと感じる

 

本書を読んで思ったのは、こういう子達の親も発達障がいの場合が多くて自分の子の異変に気づきにくいので、他人が気づいてやるのが最適だと思われる

例えば、学校とかも勉強を教えるだけではなく教師がよく配慮して観察するとか、専門の医師やカウンセラーを増やしてそういう生きにくい子達に気づける環境を作るとか…そういった児童が相談しやすい環境にするとか…うーん、難しいかなあ…

 

でも、たいていの犯罪者は

 

親が未診断の発達障がいや、軽度知的障がいで家庭環境が悪い→そんな環境で育った子供も問題児になる→社会からの孤立

 

となってるので、その辺に犯罪者を作る要因があると私もつねづね思ってる

本書を手がかりに周りの大人が救いを求める少年達に手を差し伸べられる社会になれば…と思った

 

※このブログでは「少年達」と書いてるけど、もちろんこの中には「少女」も含まれます

 

 

 

 

 

 

 

【本の世界で謎を解く】「この本を盗む者は」深緑野分

2月に入り読み終わった本

本屋大賞にもノミネートされていた

「この本を盗む者は」深緑野分

 

本好きなら憧れるミステリーかと思いますし、人が死なないのでそこらへんが苦手な人も楽しめる一冊でした

 

ちなみに、この著者さんの「戦場のコックたち」は名作なのでこちらもおすすめです

最近は頭がぼんやり気味なので文章がハチャメチャだけど、せっかく読んだのでガツガツと記録していこうと思います

 

★あらすじ

舞台は本の町、読長町

 

「本探しながら御倉さんで一発だ」と言われるほどの蔵書を抱える御倉館にて不思議な事件が起こる

 

怪我をして入院した父あゆむの代わりに、御倉館のいっさいを取り仕切るねぼすけの叔母のひるねの世話をする事になった深冬

 

深冬は本が嫌いなのだがイヤイヤながら御倉館に足を踏み入れると「この本を盗む者は魔術的現実主義の旗に追われる」と書かれた気味の悪い御札を発見する

さらに真白という女の子が御倉館に入り込んでおり深冬は動揺するが、真白は毅然とした態度で「泥棒が来て呪いがかけられた」と『繁茂村の兄弟』という本を深冬に読ませた

 

その瞬間、読長町は満艦飾の旗に包まれ、月がウィンクをし、あちこちから植物が芽生えた

その世界は『繁茂村の兄弟』の本の世界そのものだった

 

どうやら御倉館の本には呪いがかけられており本を盗まれたら、その本の世界に閉じ込められるというのだ

 

呪いを解く方法は犯人を捕まえる事

 

深冬は、変わってしまった世界から抜け出すために犬になった真白と『繁茂村の兄弟』を盗んだ犯人を捕まえるために本の世界を奔走する

 

★感想

この本は全5話からなり、深冬は5つの本の世界を探険しながら犯人探しに挑む

話が進むにつれ深冬がブックカースの法則を探る人物と協力したり、御倉館の本に呪いをかけた人物とそのキーとなる存在が明らかになっていくというミステリー

 

盗まれた本の世界に閉じ込められ、盗まれた本のあらすじにそって謎が立ちはだかるという構成が面白いし、本の世界の登場人物に紛れそブックカースを利用しようとする人物が現れる第2話は書店の万引き行為の罪の重さについて考えさせられた

 

頼りない深冬が謎を解きテンポ良く進むストーリー展開は読んでいて非常に気持ちが良いし、コロコロと変わる登場人物達や独自の世界観、制限時間が迫ると本から出られなくなるというスリル…著者さんの創造力が凄まじいと感じるし冒険小説みたいな側面もある作品だった

 

あと、ハードボイルドやファンタジー、SFなどの本の世界を慣れないながらも犯人を見つけるために渡り歩く深冬の姿が、ほんっとーに大変そうなんだけど、いち本好きとしてはとても羨ましい

 

本の世界って一度は入ってみたいと思うよなあ…私は「百舌の叫ぶ夜」に入って殺し屋の百舌に会ってみたいもの…

(でも叙述トリックの世界に巻き込まれるのってきついな)

 

最後の謎から結末にかけては、かなりのスピード展開に感じたけど深冬の祖母との確執や人間関係が強調されている

蔵書に対する人それぞれの向き合い方も私には新鮮に映った

深冬が本嫌いになった本当の理由が明らかになり、本を書き、読書を愛する人達の気持ちもそれぞれだと再確認

ミステリーだけど、本好きの人の夢が詰まったファンタジー作品のような一冊だった