読書人間の電子書斎

〜今まで読んだ本を記録して自分だけの図書室を作るブログ〜

【ヤンデレ百合好きは最後まで観るべき】ハイテンション【スプラッター映画感想ネタバレ有】

たぶん私が10代くらいの頃の映画だろうか、当時すごく話題になったけど観れてなかったなーと思ってアマプラで配信されてたから悩みながらの視聴

なぜ悩んだかというと、フランスホラーは「マーターズ」とかの影響で難解なイメージがあって敬遠してたからです

(私はテリファーみたいな何も考えなくていいスプラッターが好きなので難解なやつは苦手)

 

けど、これはなんとなく理解できたので軽いあらすじと感想を語っていきます

 

★あらすじ

 

内容はかなりシンプル

 

登場人物

 

マリー

本作の主人公、スレンダーで可愛い顔をしている。ショートカットで男嫌い

 

アレックス

マリーの友達、ブラジル女好きの彼氏の浮気に悩まされている

フィフス・エレメントの歌うイカの人も演じていた女優)

 

巨体の男

ごっついでかいオッサン

 

 

マリーとアレックスは大学生で休みを利用してアレックスの実家に泊ってゆっくり過ごす事になった

アレックスの両親はマリーを暖かく迎えてくれる

 

友達同士でリラックスして過ごすひと時

彼氏の事でぐちるアレックス…少し苦い顔をしながら聞いているマリー

 

というのも、マリーはアレックスの事が好きなのだった

 

マリーはイヤホンで音楽を聞きながら一人でアレックスを想い部屋で悶々と(本当に悶々と)していた

 

…が、不審な物音に気づき階下に降りると死んだ犬と、頭から血を流した瀕死のアレックスのお父さんが巨体の男に首チョンパされていた

 

マリーは機転を利かして巨体の男をやり過ごすのだが、巨体の男はアレックスの家族を残虐に殺して、最後に拘束したアレックスをトラックの後部に乗せて連れ去ろうとする

 

愛するアレックスを助けるために、マリーは巨体の男と戦う事を決意して自らもトラックに乗り込むのだった

 

★ネタバレ感想

思いの外、良かった

 

物語の理解力が低い私でも最後まで観ることで「そう来ますか!」となるどんでん返しが待ってて物語的にも楽しめたし、視覚的にも派手でなかなかのスリルを味わえた

 

私的にはこの映画のハイライトはアレックスのお父さんの首チョンパ

まず、階段の冊にお父さんの頭だけが出るようにセットする

そして棚でお父さんの頭めがけて横からズコーンとやったら頭がなくなるという…(頭ってそんなにもろいか?)

 

特別に凝った殺し方はしてないけど、フランス映画特有のじっとりした感じの場面転換で殺しが行われるから、なんだか生々しくリアルに感じてちょっと気持ち悪くなる(マーターズの感じに似ている)

 

ただ後半から「あ、これはただの人殺すだけのスプラッター映画じゃないな」と確信

マリーが巨体の男のトラックを車で追跡してる場面で「?」と違和感を覚えたからだった

 

ここからネタバレ

 

 

マリーと巨体の男の仕草、持ち物が物語の要所要所でリンクしている

 

「まさかこの巨体男とマリーって同一人物か…?」

 

序盤マリーが助けに来たのにアレックスがパニックになっていたのも違和感があったなあ…他にも色々…うーむ…と感じてからの、すべての違和感を回収するあのラスト

スタイリッシュかつヤンデレ百合好きは歓喜しそうな最後だった

 

マーターズ」ほど難解じゃない、程よいどんでん返しも良かった

 

 

しかしなあ…マリーは本当にアレックスを愛してたんだろうとは思う、ただ親を殺るのはなあ…彼氏なら分かるけども…

 

アレックスはマリーをただの女友達としか思ってないし、大学とかで彼氏と過ごすアレックスを見て闇落ちしていって「自分とアレックス以外の奴らはこの世にいらん!」みたいになってマリーをあんな凶行に駆り立てた理由かもなあ

 

あの巨体の男はマリーの闇(アレックスに見せたくない自分の汚い部分)のような物を表してたのかなあと、うまく言語化できないけどそういうふうにこの映画を解釈してみた

 

物語の結末、手を振るマリーの笑顔が悲しかった

 

まだまだ考察できる映画だけどこのへんで

 

……最後に

 

マリー可愛いのに、マリーの闇あんなオッサンで良かったんか?

 

 

 

 

 

 

 

 

【「歪みの国のアリス」から「オズの国の歩き方」まで完全網羅】ナイトメア・プロジェクト公式ガイドブック

ナイトメアプロジェクトのゲームは昔プレイしたけど、うっすらとした記憶しかないので最近また遊び始めた「歪みの国のアリス」と「オズの国の歩き方」

これに加えて昨日「一夜怪談」もクリアした

 

とくに「歪みの国のアリス」は改めてプレイしたらファンタジーホラー要素が強いけど、主人公の亜莉子を王子様的に助けるチェシャ猫がかっこよすぎて沼にハマり、フリマサイトで昔出てたグッズまで買った

 

そして、キャラの設定なども読みたいなと思ってガイドブックも購入

 

ナイトメアプロジェクトのゲーム

歪みの国のアリス

「一夜怪談」

「迷ヒ家ノ鬼」

「Seventh Blood Vampire」

「オズの国の歩き方」

 

の、ゲームのフローチャート、各キャラの設定などにくわえてゲーム開発インタビューや「歪みの国のアリス」の小説2篇、漫画1篇

「一夜怪談」の前日譚の漫画1篇が収録されていてなかなかの読み応えがあった

 

カラーページなのは「歪みの国のアリス」だけなのでアリスメインになっているガイドブックなのかなーという印象

でも「オズの国の歩き方」のキャラ設定で、オズキャラの顔を拝めたのが良かった(ゲームはシルエットだけだから)

 

「一夜怪談」の全エンディングはまだ回収できてないから、フローチャートが助かる

これ見ながら、再プレイしようと思う

 

制作陣のインタビューや裏話も面白くて、ゲームへの心がこもっている

どのゲームも大切に作られてるんだなと感じた

 

小説も最高!!

 

歪みの国のアリスの小説

 

「薔薇の香りの招待状」著・狐塚冬里

亜莉子がいなくなりさみしがる不思議の国の住人達が集まってお茶会しながら相談する話

 

みんなワチャワチャしてて可愛いし、ゲームでは絡みのなかった不思議の国の住人同士の会話が楽しかった

 

「白雪姫の国のアリス」著・山城悦子

白雪姫になった亜莉子は七人の小人(不思議の国の住人)の家に逃げ込んだが、毒りんごをもったトカゲ男のビルが現れて…

 

こちらは歪みの国のアリスのゲームの脚本を描かれた方の作品

つまりこれは、公式のようなもの

ゲームでは鬱々してたキャラもめっちゃイキイキしてたのが良かった

ていうか、亜莉子の叔父さんは不思議の国の住人が見えるのどういうこと…

変態武村が水を得た魚みたいに亜莉子に言い寄ってるのも笑えた

 

ーーーー

 

歪みの国のアリスのゲームのバッドエンド「僕のアリス」が漫画化されてるのも良い

「一夜怪談」の前日譚もかなり気になる、これを長編のゲームにしてほしい

 

とにかく充実したガイドブックだった

 

歪みの国のアリス」はシロウサギを探して主人公の亜莉子の真実を探るファンタジーホラーノベルゲーム

「オズの国の歩き方」は記憶をなくしたドロシーが仲間を連れて、オズの国を巡る超長いノベルゲーム

 

この2つは最後までクリアした時にじわりと泣けたので、ぜひ!

 

 

【祝!200話達成!】「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」谷川ニコ

今月のブログ閲覧数1000pv突破しました!ありがとうございます🙇

 

いや、今までだとこの閲覧数はあり得なかったので目を疑いました…めちゃくちゃ嬉しいです

マイペースに更新していきますので、適当によろしくお願いいたします!

 

そして、私が最近読んだ本は

谷川ニコ先生の

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」22巻

 

★「わたモテ」のざっとしたあらすじ

高校生になると必然的にモテると思っていた黒木智子(もこっち)←あだな

しかし、現実の学校生活はそんなに甘くない、もこっちは、ぼっちのまま1年を過ごす

1〜4巻までは、もこっちの痛い生態が描かれていて読んでいて「うっわ…」と思うシーンも多く5〜7巻で脱落した読者も多かったらしい

 

…が、高校2年に上がってから環境は変わり修学旅行をきっかけに、もこっちを取り巻く環境が変化してきた

修学旅行で同じ部屋だった同級生と不器用ながらも距離を詰めライン交換をしたり、いつもぼっちだったもこっちを気にかける同級生が現れ友人が増えていく

 

さらに3年に上がると、修学旅行と同じ部屋だった子や、もこっちを気にかける同級生が友達になり同じクラスになり、そこから友達の友達へ…と交友関係が広がり、いまや女の子ばかり登場するちょっとした学園系百合漫画になっている

 

↓「わたモテ」をもっと知るには、滅びゆくじじいさんのブログがおすすめなのでリンク貼っておきます

horobijiji.blog.fc2.com

 

★22巻のあらすじ

22巻では200話ということもあり、読者から募集したベストコンビ5組のお話が収録されている

 

個人的にツボだったのはもこっちと内さん(修学旅行で出会った子)の話

私的にはもこっちはガードが固い子なのかなと思ってたんだけど、もこっちに歪んだ愛を傾ける内さんが「ラブホ勉強会しよう!女同士だしいいじゃん!勉強だけだから!」という押しにのっちゃうという…もこっちって意外にもちょろいんだなと心配になった

(大学で悪い男に引っかかるなよ…)

 

田村(修学旅行で友達になった子)と根元(もこっちを気にかけてた声優志望の女の子)の話も意外な組み合わせで好きだった

ふだん感情を表に出さない田村さんの「大人になっても友達みんなで暮らしたい」という夢がなんか嬉しかった

 

あとは、文化祭の映画を撮るのがメインになってる22巻

まあ、おまけ話が多かったかなーという印象です

 

★感想

1巻から痛々しいもこっちを見守ってきた側としては、暗かった妹が明るく成長していくのを見ているような気がしてきて微笑ましくなる

だって、誰にも相手にされてなかった空気のようなあの女の子が友達とクリスマスパーティーとかして、文化祭のアイデア出して打ち合わせして脚本書いて映画撮るまでになってるんだからこれが嬉しくなきゃなんだってんだ

 

22巻でも、映画撮りつつもエグい下ネタは健在

もこっちのモノローグが減り、その代わりにもこっちの友達同士の人間関係が最近はよく描かれてるよなーとも感じた

 

あと、女子友達がふえたせいか女子特有のイヤ〜な話もあったりして、その辺の心理描写が流石だな、さすが谷川ニコだなと言わざるおえない

(作画の方が女性だから余計にリアルなのかも)

 

もこっちの弟、智貴とあかりちゃん、便所コオロギ(小宮山さん)の三角関係も気になるところ

 

23巻に期待しよう!

 

あと私、もこっちの抱きまくらカバー手に入れそこねて軽く絶望してます、また再販してほしい…

 

ーーーーーー

 

【追記】

近いうちに「歪みの国のアリス」という昔プレイしたアプリをまたやり始めたのでサブブログで語りたいと思います

そちらもお願いいたします!

 

 

 

 

 

 

 

 

孤独のグルメのもっと孤独なやつ「鬱ごはん」3巻 施川ユウキ

最初にこの漫画に出会い読んだのが確か5、6年前

大学を出るが、就活失敗

フリーターを続け、焦りを感じながらも就活はしたくない

その日をだらだらと潰しながら過ごす毎日を送る「鬱野たけし」

 

そんな彼の楽しみはいちおう、3食のご飯

 

…だけど、生来の彼のネガティブ思考のせいか、食を自分の人生に例えて悲観的になったり、コミュ障ゆえ挙動不審になったり、食にありつけても素直に楽しめず世界一まずそうに悲壮感と悲哀を込めそれでいてなんか汚い食レポをする漫画

 

1巻、2巻はけっこう社会不適合者という面が押し出されどうしようもない人間として描かれていた

不器用でうまく生きれない彼になんだか共感して読み出した作品です

 

だけど、3巻になると少し様子が変わってきて「おっ」と思ったのでここに感想を書くことにしました

「鬱ごはん」3 施川ユウキ

★あらすじ

3巻になるとたけしは三十代に突入

1巻、2巻の時はネガティブな自分に酔っているのでは?と感じる描写が多々あったけど、3巻ではなんだかたけし自身がだめな自分の現状を受け入れてるように感じた

 

体を鍛えたり、沖縄での結婚式のついでに沖縄観光したり、温泉旅行に行ったり、鼻毛脱毛したり…相変わらずたけしのネガティブ思考は健在だけど、それでも1、2巻と比べれば自分のペースで少しずつ楽しみを見い出しているのでは…?

 

★感想

 

なにより感じた事はたけしが「食」を楽しめるようになっている

 

身近な食べ物をはじめ、食べたことがない食べ物(アヒージョ)に挑戦したり(コッペパン専門店に朝イチで行ったり)、ウインナーの一番美味い食べ方を試したり、お酒もしっかり嗜んでいる

 

まあ、それでも生来のネガティブ思考は変わらないけど、たけしは満足してないだろうけど、私にはたけしが自由気ままに食ライフを満喫してるように見える 

 

仕事は先延ばしたが死ぬほどの悩みはない、自分中心の世界「こんなのもいいのでは?」と思ってしまう3巻だった

 

しかし、この作者さんはなぜこんなに陰キャ独特の思考回路を言語化するのがうまいんだろう?

陰キャ、コミュ障がストレスに感じる事を的確に突いていく

 

さよなら絶望先生」の久米田康治先生に続いて新しい天才を発見した気分だ

 

ーーーーーー

 

4巻も読んだので近いうちにまた、感想をアップします(◍•ᴗ•◍)

 

 

 

気分の悪くなる児童文学「にんじん」ジュール・ルナール

久しぶりの投稿

 

梅雨の低気圧と不眠症にやられて、しばらく動けないでいたけどなんとか復活

読んだ本もたまりまくってるので、少しずつここで記録をつけていけたらいいなあ

 

ということで

童話みたいなもんだろうと軽い気持ちで読んだら、かなり気分の悪いものでした…

 

☆あらすじ

髪が赤いからにんじんと呼ばれている少年にんじんの家族との日常を描いた物語(この作品の作者ルナールの自伝的小説)

 

だけど、母親が典型的な毒親

兄弟間差別や、にんじんへの人格否定、おもらしをしたらその尿を飲ませるなどの虐待を加える

 

にんじんは自分が悪い子だからと思い込みうまくやろうとするけれど、その思いは母親にはいっさい届かず、徐々に歪んでいく様がゆったりと綴られている

 

☆感想

短い話で展開していくので読みやすいのだけどもとにかく重く読み進めるのが苦痛

 

ほのぼのした家族の日常を描いているのに母親の存在が異分子すぎて日常に潜む違和感を描いたホラー小説みたい

末弟のにんじんを餌食にしていじる事で家族がワイワイするという学校でのいじめに通ずるものがある

 

ストレスのせいで、にんじんが動物を殺したり破壊衝動を抑えられなくなったり…だけど、学生寮でのとある出来事から愛情を欲してるようにも感じるし、アダルトチルドレンができていくさまを見ているようでおぞましくなったし悲しくなった

 

これが現実の世界で今でも起きてるんだよな

 

たぶん、にんじんの母も人間として何か欠落した親に育てられたからこうなったのか?自分がされた事を子供にもするっていう負のループ

 

おもらしのエピソードに関しては、幼少期のおもらしはいわゆるシリアルキラーと同じ特徴でもあるから、そういう人間を作る環境ってこの作品の環境に近いと思う

 

ラストは母親に洗脳されつつも、今の状態を脱却したいという意思を感じた

にんじん(ルナール)が作家として成功したという事は、この母親の存在を振り切ることができたのだろうか

 

 

3月後半から4月に読んだ本まとめ②「怖い話」福澤徹三 「眠れなくなる夢十夜」

3月後半から4月に読んだ本まとめ①の続きです

②ではホラー感のある本ばかりをまとめてみました

 

「怖い話」福澤徹三

こちらは、心霊系の怖い話というよりは巷にはびこる都市伝説、刑罰や文化、著者の怖いと感じる物や実際に遭遇した怖い話などのリアルな体験談を集めたエッセイ

 

★感想

個人的に怖いと思ったのは、ゴキブリの浮かんだスープを使ったラーメン屋のバイトの話は想像するだけで鳥肌モノ

あと消費者金融系の怖い話とかは、やけに著者が金関連の修羅場に慣れている感じなので別の意味の怖さを感じた

 

ただ、少し物申したいのは著者の怖いと思う虫の話で「オオミズアオ」という蛾がピックアップされていたのだけども、私はオオミズアオはむしろきれいと感じるので同意できなかった

蝶や蛾の画像が平気な人は一度検索して見てほしい、発光するような青が幻想的ですよ

 

最後の方に怪談が収録されているけど、読み手は20話にわたってさんざん世の中の闇を読まされるので幽霊話が怖く感じなかった

 

著者がギリギリを体験した人にしかわからない思想を持っていて個人的にはそこが1番の恐怖ポイントでありつぼだった一冊

 

「眠れなくなる夢十夜

夏目漱石の「夢十夜」にならって「こんな夢を見た」から話が始まる夢と現の境を彷徨うような不気味な話を集めた10話からなるアンソロジー

まず思ったのは、阿刀田高さん、西加奈子さん、道尾秀介さん、あさのあつこさん、小池真理子さんなど…集まった作家さんのデッキが強すぎる

麻雀なら最初の配牌がメンチン二向聴レベル

 

この10話のなかで私が個人的に好きな4つの話のあらすじと感想をまとめてみる

 

①「厭だ厭だ」あさのあつこ

妻を亡くした夫が過去に愛した女性や、妻の久利子に思いを馳せる話

 

久利子は「厭だ」が口癖だった

 

望んでいない結婚、子供を愛せず、何よりも夫に嫌悪感を持ったまま亡くなっていった…そんな妻を哀れに思っていた夫だったが、夢の中に久利子が出てきて「このまま、逃げませんか」と言う

 

それは結婚初夜に久利子が夫に言った言葉だった

 

★感想

他人が見ていても分からない、夫婦当事者の複雑な関係が描かれていて泣ける

生きている時にもっと話し合うべきだったし、夫も久利子の「逃げませんか」という言葉から逃げるべきではなかったと思うけど、人間ってその時の感情とかタイミングや立場だとかで動けない時がある

大切な人が亡くなってから、こういう、積み重なった後悔が残るんだよなあと思わされた話

たとえ夢の中だとしても二人が救われて良かった

 

②「盲蛾」道尾秀介

あるひとりの盲目の女性に売春をさせて金を得るダメ男の話?時代も国もわからない…夢か現実かもわからない、そんな世界観から話は進んでいく

 

★感想

私には解釈が難しい話だけど…弱い立場であるはずの盲目の女性が、自分を売っている男を愛している

でもその愛が男をがんじがらめにし、男が追い詰められていく様が恐ろしく感じた

そして、衝撃の結末

逃げようのない牢獄に閉じ込められた男が自業自得なようなかわいそうなような不思議な話

 

③「翼」小池真理子 

妻のいる彼を亡くした「わたし」の話

最愛の愛猫ミロを亡くし、ミロのあとを追うように亡くなった彼

勤めをやめ、彼の妻に罵倒され、葬儀もろくに行えず残されたわたし

例えようのない孤独の中で彼と出会う夢を見た

 

★感想

最初は「なんだ、不倫かよー」読み進めるも、まさかのファンタジー感のある結末へいざなわれる

私はこれがハッピーエンドかは分からないけど「わたし」がこれでいいのなら…良いのかなあ…

綺麗事ではすまない、負の部分の恋愛模様が短い話にぎゅっ詰まっていた

 

④「輝子の恋」小路幸也

輝子は寿命を向かえていた…死ぬのだなと思った矢先に夢を食べるという妖怪「獏」が現れた

獏は輝子の人生で思い残した事を最期に叶えてやると言う

そして、輝子は過去に戻り18歳の時に恋をした若宮さんにもう一度出会う事になる

 

★感想

甘酸っぱい恋愛ものだった

二人の男性の間で揺れる輝子の苦悩にハラハラするけど、登場するキャラの真っ直ぐさや、純粋さが心に染みる、これこそボーイミーツガールもの…と言いたい所だけど、いや!オチ!

輝子のお母さんが輝子の恋を助けるために「あんた、そこまでするか?」と言いたくなるレベルの仕事をする

結末に必ず驚く面白い話だった

 

 

「眠れなくなる夢十夜」はホラーというより、幻想的で美しい話が多くて浅い眠りの時に見る夢を追体験するようなアンソロジーだった

個人的に大当たりの一冊でした

 

ーーーーー

さあ、もう5月かあ…年々、時がすぎるのが早く感じる…

 

GWに突入するけど、特に予定ないし私は趣味の家庭菜園と衣替え、部屋の掃除をして過ごすつもりです

 

長編小説も読んでいきたいけど、横溝正史アガサ・クリスティあたりを再読していきたい気持ちがある

(この前「悪魔の手毬唄」読み終わりましたので、これも近いうちに感想書きます)

 

 

 

 

3月後半から4月に読んだ本まとめ①「ももこのいきもの図鑑」さくらももこ 「小さなトロールと大きな洪水」トーベ・ヤンソン

3月後半から少し疲れ気味(急に寒くなったりしたからかな?)で、あまり長い本を読めなかったので、阿部寛のホームページ並に爆速で読める本ばかりを読んでました

 

 

4冊ほど読めたので、記事を2つに分けて読書記録をぼちぼちマイペースに付けていこうと思います

 

かなりさらっとした簡潔な感想です

 

「ももこのいきもの図鑑」さくらももこ

さくらももこが子供の頃から、飼ってきた昆虫や動物などの短いエピソードがイラスト付きで添えられているエッセイ

 

メジャーな昆虫(カブトムシやセミ)だけでなく、ぱっとしない地味な虫(イトミミズ、カメムシなど)を観察して独自に解釈してるのが面白い一冊

 

★感想

さくらももこが身近にいる生き物について面白おかしく語るエッセイだけど、誰しもが子供の頃に触れたことのある昆虫や動物の思い出話ばかりだから、懐かしさがこみ上げてきて面白いやら切ないやら不思議な気分になった

 

なかでも、ホタルのエピソードが印象的、私も保育所で先生に箱に入れたホタルを見せてもらったことがあるのだけども、あの幻想的な光が今でも忘れられない

今ではあまり見れないんだろうなあと寂しい気持ちにもなる

 

また見てみたいなあ

 

「小さなトロールと大きな洪水」トーベ・ヤンソン

ムーミンシリーズのエピソード0という位置づけの本作は、第二次世界大戦終戦直後に出版された

 

行方不明になったムーミンパパを探しにムーミンママとムーミンが過酷な環境を乗り越え、個性豊かなキャラに出会い仲間になりながら話が進んでいくというある種RPGのような展開で進んでいくのが面白い一冊

 

★感想

ただ、ひたすら癒やされた

 

ムーミンママが意外にも強気で毒舌なのも笑ったけど、荒波にもまれ命の危険をかえりみずにムーミンパパを意地でも探す姿を見てると「ムーミンママってほんとにムーミンパパの事が大好きなんだなあ」と優しい愛情を感じた

 

次々と登場するキャラは魅力的(とくにスニフ)だし、チューリッパという少女や赤い髪の少年などの人間キャラも初期のムーミン童話には登場してたんだ…

 

挿絵もたくさんで見てるのが楽しい

ムーミン初期の絵柄はあんまり可愛くないんだけど、妙に癖になる絵柄でじーーっと見てるとキモかわいい感じがする

 

ユニークな一冊だった