SF作品に触れるきっかけになった記念すべき一冊目。
時計じかけのオレンジ。
映画にもなって有名だし何となく読んでみるかと思って読んでみたのですが衝撃を受けました。
☆あらすじ
主人公は15才のアレックス。彼は仲間と共に暴力三昧の日々を送っていた。
ある夫婦の家に押し入り気を失った小説家の夫の前で妻を暴行する。
仲間内でシャレにならないケンカをしたりあげくのはてに人を殺し刑務所に入る。
その刑務所で「ルドビコ療法」という新手のショック療法のようなものを受けて釈放される。
それから、アレックスは犯罪どころかそれらを連想させるような事を考えただけでも吐き気におそわれ暴力行為を受け付けない体になる。
仲間や家族から見放され、何もかもを失い街を放浪する満身創痍のアレックスを
救ったのはあのときの小説家だった…。
☆感想
文章はかなり独特。
アレックスが語り手なのですが
暴力行為すら楽しんで行っていることが彼の語りを通して手に取るようにわかる
なんというか…自分で悪行を犯している自覚がないんですよ。
無邪気な悪意というか…読んでて気分悪くなりました。
でも、ここまで人の気分を揺さぶられる描写はもう逆にすごいかな、と。
しかし、こいつは悪いやつですね。
(⬆個人的なアレックスのイメージ、たぶん天然パーマ)
でも、なんというか読んでてくせになってくるというか…すごい暴力描写なのにスタイリッシュ。
作中でアレックスはクラシックが好きでよく聞いているのですが
その曲が暴力行為と共に再生されるような謎の感覚。暴力と芸術の融合、くらくらする世界観。
ハラショー(最高)ブリトバ(かみそり)などのドイツ語単語が出てきて読みにくいのですが
そこがまた、この直接脳を揺さぶられるような世界観を表現するのに一役かってるんですよね。
口に出して読んでみたくなりました。
付け足された最終章に関しては
賛否あるようで、私はどちらかというと「否」なのですが
なんか、いかにも嫌われっ子世にはばかるを体現したような結末で腹が立ちますね。
まあ、この不条理感がこの小説の醍醐味だと思うからそういう意味ではこの結末は納得かも。
私がSF作品にハマったきっかけになった作品のひとつです。