文章のない絵本「ウエスト・ウイング」エドワード・ゴーリー
影響されてエドワード・ゴーリーという絵本作家を知りました。
⬆ コミックは和紙でできており、その和紙が足りず現在、絶版。
古本でしか売ってない。
電子なら読めるみたいだけど、やはり本なんですよ。
最近の久米田作品ならアニメにもなった「かくしごと」が最&高。
アニメもエンディングが大瀧詠一の「君は天然色」なのがポイント高し。
(さよなら絶望先生も激推し漫画なのでまた機会があれば書こうっと)
で、そこから、ゴーリー沼にはまり
何冊か絵本をコレクションしてるのですが
ゴーリーといえば
「おぞましいふたり」「ギャシュリークラムのちびっこたち」という
作品が一部の間では有名ですが
この作品…
文章がない、そしてストーリーもない
言ってしまえばイラストだけ。
この表紙に描かれているのは館の西棟(ウエスト・ウイング)
読者は表紙を開けば西棟に入ることができる
そこには、西棟の内部が描かれている
そこにいるのは
無気力な顔をしたメイド
開きかけの隙間が気になる扉
倒れている男
倒れている家具
なにかがうつりこんでいる大きな姿見
誰かが覗き込んでいる窓
浮いている影
包帯だらけの人間
人が一人入りそうな箱
不自然な角度で立つ女
毛皮を着たゴーリー本人らしき男
見ていると心が不安定になりそうなイラストが
独特の線描画で描かれている
(線描画はゴーリーの特徴)
☆感想
本来、ゴーリー作品は韻を踏んだ文章や
とにかく、登場人物がとにかく悲惨な目にあうのに
淡々と展開していくストーリーが特徴なんだけども
この作品は前述したとおり
文章もストーリーもなにもない。
しかし、この本文章もないのに
イラストを眺めていると色んな想像をかきたてられるのが素晴らしい。
例えば、これは、私の解釈だけども
この西棟に住んでる一部の人は生きてない
人が一人入りそうな箱に倒れている男が死体となって入っている。
だとしたら登場する人物(ゴーリーらしき男か不自然な女か)が、その男を殺した?
家具などは男を殺した時にもみ合って倒れたのかも
無気力な顔をしたメイドはそれを私たち読者に隠蔽しようとしているが
でも、男は亡霊となり窓を覗き込んだり
姿見にうつりこみながら読者たちに知らせようとしている
みたいな、ストーリーを頭のなかで作り上げながらこの絵本を読んでいた。
この絵本は文章もストーリーもない
恐らく、イラストも時系列の順番に並んでいるわけではないので
読んでいるものの想像力に解釈が委ねられる。
この西棟(ウエスト・ウイング)にはなにがあるのか
あるいはあったのか想像しながら読んでみると面白い。
もちろん考察などせず「これ、不気味だな」と思いながら
西棟を探訪するのも肝試し気分を味わえて楽しいかも?
(ん?味あえてかな?)