佐藤愛子「九十歳。なにがめでたい」
「気がつけば、終着駅」でこの作家さんを知りこのエッセイを読んだ。
内容としては90歳の著者が年齢を重ねて思うことや
現代人と昔の方の考え方の違いについて語るというもの
例えばこのエッセイの一部を例に出すと
著者は雑誌でこういう質問を見つけた
「犬の散歩をしているとおじさんに怒鳴られました、ショックです。この気持ちをどうしたらいいんでしょうか?」
この質問に対して著者はこう思ったという
「だからなに?」
たかがオヤジに怒鳴られただけだろう
子供なら泣きながら親に言ったりするだろうけど
親だって「いちいち気にすんな、いいかげん泣きやめ」と
言うレベルの問題である
ましてや、質問者はいい歳をした大人
少し精神が脆すぎるのではないか
という話から広がり現代人の心の弱さをぶった切る展開へ…
なんだか、今に不満があるというか
現代に対してもやっとする時がある人が読んだら
「あー、うまく言語化してくれてるー」って
思ってしまうエッセイ
ちなみに、私なら犬の散歩しててオヤジに怒鳴られたら
「…まずお前誰だよ、名乗れよ」って言います。
バイトの接客で客とケンカしたこともあるのだけど
いじめ経験してから異様に自分を押さえつけてくる人に
反発心を覚えるようになってしまったからねえ…
★感想
普通は「昔はこうだったのに今の人は〜」とか言われると
軽くムカつくんですけど
でも、この著者の方の場合はほんとド正論としかいいようがなくて
しかもスパッと切り捨てるので読んでて爽快感を感じる
確かに昔って今と違って不便だけど
そのぶん、昔の人はメンタルが強かったと思う
現代人は多くを欲しがり、便利なものを手に入れ
自分で何かをやることが減り心が弱くなる
って感じのイメージ
この著者さんはデジタル関係やSNSについても綴ってたんだけど
読みながらそんな事を考えていた
便利になりすぎるのも考えものなんだなあ
ところで
この著者さんは老いや死へのスタンスがかっこいい
無理に抵抗しあがくこともなく
衰えに焦ることもなく
腹をくくって全てをひっくるめて受け入れている
それができるのは
この著者さんが若い頃から全力投球で生きてきて
後悔があまり残ってないからできる考えなんだと思う
私も後悔のないように
人生を生き抜くことができたらいいんだけどなあ…
できなそう