読書人間の電子書斎

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佐藤愛子「九十歳。なにがめでたい」

 「気がつけば、終着駅」でこの作家さんを知りこのエッセイを読んだ。

九十歳。何がめでたい

九十歳。何がめでたい

  • 作者:佐藤愛子
  • 発売日: 2016/08/01
  • メディア: 単行本
 

内容としては90歳の著者が年齢を重ねて思うことや

現代人と昔の方の考え方の違いについて語るというもの

 

例えばこのエッセイの一部を例に出すと

 

著者は雑誌でこういう質問を見つけた

「犬の散歩をしているとおじさんに怒鳴られました、ショックです。この気持ちをどうしたらいいんでしょうか?」

この質問に対して著者はこう思ったという

「だからなに?」

たかがオヤジに怒鳴られただけだろう

子供なら泣きながら親に言ったりするだろうけど

親だって「いちいち気にすんな、いいかげん泣きやめ」と

言うレベルの問題である

ましてや、質問者はいい歳をした大人

少し精神が脆すぎるのではないか

という話から広がり現代人の心の弱さをぶった切る展開へ…

 

なんだか、今に不満があるというか

現代に対してもやっとする時がある人が読んだら

「あー、うまく言語化してくれてるー」って

思ってしまうエッセイ

 

ちなみに、私なら犬の散歩しててオヤジに怒鳴られたら

「…まずお前誰だよ、名乗れよ」って言います。

バイトの接客で客とケンカしたこともあるのだけど

いじめ経験してから異様に自分を押さえつけてくる人に

反発心を覚えるようになってしまったからねえ…

 

 

★感想

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普通は「昔はこうだったのに今の人は〜」とか言われると

軽くムカつくんですけど

でも、この著者の方の場合はほんとド正論としかいいようがなくて

しかもスパッと切り捨てるので読んでて爽快感を感じる

 

確かに昔って今と違って不便だけど

そのぶん、昔の人はメンタルが強かったと思う

 

現代人は多くを欲しがり、便利なものを手に入れ

自分で何かをやることが減り心が弱くなる

 

って感じのイメージ

 

この著者さんはデジタル関係やSNSについても綴ってたんだけど

読みながらそんな事を考えていた

 

便利になりすぎるのも考えものなんだなあ

 

ところで

この著者さんは老いや死へのスタンスがかっこいい

無理に抵抗しあがくこともなく

衰えに焦ることもなく

腹をくくって全てをひっくるめて受け入れている

 

それができるのは

この著者さんが若い頃から全力投球で生きてきて

後悔があまり残ってないからできる考えなんだと思う

 

私も後悔のないように

人生を生き抜くことができたらいいんだけどなあ…

 

できなそう

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