【怪談シリーズ】井上雅彦「黒い遊園地」 工藤美代子「怖い顔の話」【短い感想】
最近読んだ怪談本を短い感想でまとめようと思う。
まず一冊目
ホラーアンソロジー「黒い遊園地」
これはアンソロジーとなっており遊園地をテーマにした怖い話を読むことができるんだけどもどちらかというと、ホラーというよりも世にも奇妙な物語的な話が多いように感じた。
色んな時代や架空の世界の遊園地をテーマにしていたり、ショートショートだったり作家さんによって個性を感じるアンソロ。
私がこの本の中で怖かった話は飛鳥部勝則さんの「番人」
息子とともに遊園地に来た湯川だったが、メリーゴーラウンドから降りてきた人達の身長が縮んでいることに気づく。
なにかおかしいと思いながらもメリーゴーラウンドに乗る湯川だがメリーゴーラウンドが回るたびに腹が切りつけられるように痛むのだった。
その理由を遊園地の職員の老人に聞くのだが、老人は言葉を濁す…。
この話、オチでやられた感がある。
怖いんだけどなんかちょっと面白い気もするという不思議な読了感だった。
あとこのブログでも感想を書いた「猫怪々」の作者、加門七海さんの作品「赤い木馬」も収録されている。
加門七海さんの作品は怪談エッセイは何度か読んだことあるけど物語では読んだことなかったので、幻想的な世界観の話を書く人だったのかと完全に意表を突かれた。
2冊目
工藤美代子「怖い顔の話」
これは著者の身近で起きた怖い話を集めたエッセイ怪談本。
不倫相手の女性の生霊が奥さんに付いてて霊障が起きているというのに不倫をやめない男性の話とか、目を合わせてはいけない人の話とか
著者の近所で起きた殺人事件の容疑者の話とか
「幽霊が出てきて怖い!」って感じではなく「なんかおかしい…」というような日常に潜む変な違和感みたいなものがぎゅっと詰まっている本。
もちろん、怖い話ばかりではなくほっこりする話も良かった。
著者の弟さんのお世話をしていたヨシエさんの霊感は不思議な話ではあるけれど、ヨシエさんと弟さんの絆や、著者のヨシエさんへの想いが伝わってきて怖いというより心が洗われるような気持ちになった。
あとがきも霊的なものに遭遇したときの対処法などが書かれていて読み応え満載。
実際、霊とか会いたくないけどいざというときに覚えておこうと思えた。