読書人間の電子書斎

〜今まで読んだ本を記録して自分だけの図書室を作るブログ〜

【ネタバレなし】青柳碧人「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」

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日本昔話ミステリー「むかしむかしあるところに死体がありました」を読んでから、ずっと気になっててやっと読むことができた

赤ずきん、死体と出会う。」

 

★あらすじ

簡潔に書くと、赤ずきんちゃんが探偵で童話の世界で起こる殺人事件をバッタバッタと解決していくプラックユーモアミステリー。

 

全4章まであって

 

第一章「ガラスの靴の共犯者」

小川でシンデレラと出会った赤ずきんは魔女にドレスとガラスの靴を纏わせてもらい、舞踏会へ行くことになる。

が、その道中、かぼちゃの馬車で人を轢いてしまう。

焦る赤ずきんちゃんにシンデレラはやたら落ち着いた様子で

死体を茂みに隠してしまおうと提案し二人でやっとこさ隠して

その足で舞踏会へと赴く。

 

…が、死体はすぐに見つかることになる

轢いた死体は舞踏会を開催した王様のお抱えの炭焼き職人だった。

 

王様は憤慨し犯人を探そうとする

焦る赤ずきんちゃんだったが、かぼちゃの馬車を運転するネズミのファインプレーにより切り抜ける。

 

その夜、シンデレラの家にとめてもらった赤ずきんちゃんだったが

なにかが、心のなかで引っかかっていた。

 

ーーーーーーーー

 

第2章「甘い密室の崩壊」

ヘンゼルとグレーテルは憎き継母ソフィアをお菓子の家へ誘い二人で共謀して殺し、その足で帰途につく。

 

お父さんと食卓を囲んでいたヘンゼルとグレーテルの前に 

ひょっこりあらわれた赤ずきんちゃん。

泊まるところがないのでヘンゼルとグレーテルの家に泊めてほしいとのこと。

二つ返事でそれを了承するお父さんだったが、さてご飯を食べようかという時間になったときにソフィアの帰りが遅いことが気になって、みんなで森へ探しに行くことになった。

 

森の中のお菓子の家へたどり着いた一行

 

ドアが内側からかけられ開けられないので

蹴破ってみるとそこにはソフィアの死体が……

 

赤ずきんちゃんはオオカミとともにこの密室の謎を調査をすることになる。

 

バレるわけがないさとタカをくくるヘンゼルだったがグレーテルのミス?で窮地に陥ることになる。

 

ヘンゼルと赤ずきんちゃんの頭脳対決が火蓋を切った。

 

ーーーーーーーー

 

第3章「眠れる森の秘密たち」

 

赤ずきんちゃんが森の中を歩いていると

車椅子のおじいさんが困っていた、しぶしぶ助けた赤ずきんちゃんだったが、そのおじいさんの正体はお城で眠れる森の美女オーロラ姫を守る宰相だったのだ。

 

古ぼけたお城に招待してもらった赤ずきんちゃんは

宰相とその身内たちで楽しい晩餐の時間を過ごすが

宰相の召使いトロイの息子メライが無実の罪で捕まったという知らせが入り、赤ずきんちゃんが前線に立ち捜査に乗り出すことになる。

 

操作しているうちにいくつもの事件が明るみに出る

赤ずきんちゃんは真相にたどり着くことができるのか

 

ーーーーーーーー

 

最終章「少女よ、野望のマッチを灯せ」

 

遠い親戚の乱暴な叔父に引き取られたエレン

 

マッチ工場を営む叔父に命令されて冷たい雪がふるなかマッチを売るが

誰も買ってはくれずそれどころか冷たい言葉を浴びせる始末

それを哀れんだ天使はエレンに幸せな夢を見せてあげようとする

 

エレンがマッチをすると、美味しそうなご飯が、幸せな家族が、暖かいベッドが目の前にあらわれた

しかし、どれも手を伸ばすと消えてしまう 

 

「夢で済ませてたまるか」

 

エレンはこの世の中の金という金を手に入れ

自分を蔑んだ人間たちをひれ伏させるために

叔父の家を燃やし、自らがマッチ工場を経営することにした

 

その類まれなる手腕でマッチ工場は大企業へ

エレンはあっという間にのし上がることができたのだ

 

しかし、エレンのマッチを誰よりも憎む少女が一人いた

 

そう赤ずきんちゃんである

 

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。

 
 

★感想

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前作の

 よりも、今作のほうが好きかなあ

 

↑この前作も面白かったけど…前作はガッツリ謎解き小説って感じだったのだけども、今回の赤ずきんちゃんは少しテイストが違うので…。

 

謎解きももちろん楽しめるんだけど、この本の世界観がどちらかというとグリム童話の原作寄りテイストで少し残酷でブラック、登場人物たちのドロドロした関係を楽しむことができる。

大人向けの童話感がある。

 

あと謎解きが楽しかったのはヘンゼルとグレーテルの話

魔法で出したり消したりできるお菓子の家の特性を

うまく利用した密室トリックだったと思うし

ヘンゼルとグレーテルが驚きの関係だった(地雷の人もいるかも)

 

最終章の赤ずきんちゃんの対決は

少年漫画的な胸熱展開が繰り広げられてて

いつも、本をだらだら読む私だけど

これだけはページをめくる手が止まらなかった。

 

魔法とか喋る動物などの

ファンタジー的な要素が謎解きに絡んでくるのも

このシリーズの面白い所。

 

とにかく興奮しているので、読んですぐこの感想を書いている

(でも、予約投稿)

 

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【ご当地怪談シリーズ】オキナワノコワイハナシ

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とにかく観てみてと言いたい琉球怪談シリーズ、アマプラで観れます

 

↓この作品って、沖縄の琉球放送ってところで放送しているようで

いわゆる、沖縄のローカル番組みたいなものなのかな?

オキナワノコワイハナシ1

オキナワノコワイハナシ1

  • メディア: Prime Video
 

 最近、怖い話を渇望している自分がいて(ストレスかな)

アマプラの怪談系統の動画を漁っていたら

毎度毎度、この作品がおすすめに出てくる

 

うーん、チープさがいなめないと思いスルーしてたんだけど

もうあまりの怪談物みたさに観たんですけど…いやー…

 

面白いやないか 

 

最初に観たのがこの3作目なんですけど

この3作目が特に面白かったのでここで少しあらすじを↓

オキナワノコワイハナシ3

オキナワノコワイハナシ3

  • メディア: Prime Video
 

 オムニバス形式となっていて一話十分くらいの怖い話が三話凝縮されています。

 

1話目「普天間山神宮寺、二時の霊堂」

 

カップルが買い物を終えて、近道をするために

お寺を通り抜けようとするのだけども

男性の方がもよおし、トイレに駆け込み用を足していると

トイレの電気が消えて、すりガラスの向こうから女が覗いていた

 

男性はビビりつつも、なんとかトイレ出る

すると目の前には髪の長い、足を引きずるボロボロの女が歩いている

その女を面白半分で写メろうとする男性…

シャッター音を鳴らした瞬間、女は男性に駆け寄って襲いかかった

 

場面は変わり、その男性の彼女にメールが届く

開いてみると男性の足を掴み引きずっている女の画像が…

 

とにかく、彼女は男性を探すため捜索していると

お寺のすみの廃屋にたどり着く。

 

2話目「ヘーガサー」

ビルの前でダンスの練習をする女の子三人組

 

そのうちの一人の女の子Aの腕にかぶれのようなものを発見する

「それ、ヘーガサーじゃない?」という女の子B

なにそれ?と聞く女の子Aに

ヘーガサーとは幽霊を見た人の体にあらわれる

できもののようなもので、それができると死ぬと説明する。

「なにそれー」と笑い飛ばすが

 

その瞬間

 

ドサッ…

 

女の子三人組が後ろを振り向くと

赤い服を着た女が倒れていた飛び降り自殺だったのだ 

 

それから、数カ月後

そのビルで働くことになった新人の桃子は残業を片付けるために休日出勤をしていた。

一服するため、屋上でタバコを吸おうとするもライターは切れている。

 

すると、横からライターを差し出す腕が…

見てみると、清掃員のおじさんだった。

 

おじさんにお礼を言って一休みする

ふと、腕を見てみるとあのかぶれのようなものが… 

それに気づいたおじさんは「それヘーガサーじゃないか?」と言い説明をするが一笑にふす桃子

 

さあ、仕事だとオフィスにもどり仕事を開始するため

資料のノートをペラペラめくっていると新聞記事の切り抜きを発見する。

 

その記事には話の冒頭の女の子三人組の変死を報道する記事だった。

 

そこから、恐ろしい怪現象に見舞われる。

 

3話目「ミーガンチョー」

一人の女が工場に忍び込んで

工場の回転ノコギリのスイッチをいれ回転する刃に頭を突っ込んだ。

 

数年後、自動車工場で働く工員の男性は誤ってメガネを壊してしまう

なにか、代わりのメガネを…と事務のお姉さんに工場に置いてあるメガネで度が合うものを探してもらうことになった。

 

数あるメガネの中でひとつだけ、ぴったりと度が合うメガネを見つける男性。

メガネは鼻のブリッジ部分が真っ二つになっていたので

応急処置として、テープで修理してそのメガネをかけて過ごすことにした。  

 

しかし、そのメガネをかけて作業をしていると不可解な出来事が次々と起こる。なぜなら、そのメガネは冒頭の自殺した女のものだったからだ。

 

ちなみに、ミーガンチョーはメガネという意味ですって。

 

 

★感想

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なんというか、とにかく3は救いのない話が多く

役者さんは棒読みだし、演技はまあ…って感じだけど

脚本で勝負してる感があって、私はこのシリーズを推していきたい。

 

それに、ご当地怪談物は良い

 

怖いだけじゃなくて

その土地の言い伝えとか歴史とかをモチーフにした通常の怪談物では味わえない怖さを堪能することができる。

 

特に沖縄は、私がこの前書いた記事

ellery0y.hatenablog.com

↑でも書いたように

一見、陽キャ感の漂う沖縄だけど一歩ふみこんでみると

霊媒師のユタや、若くして死んだ猫は木に吊るすなどの独特の慣習がある。

 

そういう、裏の部分を知ることができるのがご当地ものの良さ。

 

そして、家にも、まだ沖縄系の怖い怪談本があるので

読んだらその感想も書こうと思う。

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【怪談シリーズ】怪談呪い家族【短い感想】

 

怪談・呪い家族 (TO文庫)

怪談・呪い家族 (TO文庫)

 

 このまえ、読了した階段本。

 

山口敏太郎さんは作家さん

中沢健さんは小説家、脚本家

牛抱せん夏さんはYou Tubeでも配信している有名な怪談師

(怪談グランプリにも出てるよー)

 

この御三方が集めた怖い話を堪能できるという

アンソロジーともいうべき怪談本。

 

こういう本は大好きで家に何冊もあるのだけども

これはそんなに怖くない…というか、ほっこりとした話が多い。

 

しかし、山口敏太郎氏の話はけっこう怖い話が多くて

寝る前の読書時間に読んでたけど、夜中にトイレに行くのが怖くなってしまった。

 

子供が読んだら充分ビビると思うし

「怖いの苦手だ…」って人はこのくらいなら

トラウマにならずに読めるバランスの良い怪談本だと思う。

 

 

※もう3月、今月入ってもう4冊読んだのでスタートダッシュは良い感じ

この調子で10冊は読みたいです。

【怪談本シリーズ】短編怪談「鬼談百景」小野不由美

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小野不由美さんと言えば「残穢」!と支持するほどの

残穢過激派の私だけど、こちらの「鬼談百景」も読んでみた。

ellery0y.hatenablog.com

こちら、短編集となっており

やはりどれもゾクゾクする話ばかりで捨て話はなし

また「残穢」の元となる話も載っている。

 

私が怖すぎるだろ…と思った話は 

 

「どろぼう」

次々と子供を産み続けるご近所さん

いつも、お腹が膨らんでいるんだけど

ある日、会ってみるとそのお腹はへこんでいた

その真相をそのご近所さんの子供から聞いてしまう

 

という話と

 

もうひとつ

 

「続きをしよう」

墓場で鬼ごっこをすることになった子供たち

最初は楽しく遊んでるが

一人ずつ怪我をしてリタイアしていく 

子供たちはその異様さに気づいてやめたいのだけど

どこからか聞こえる「遊ぼうよ」という声に抗えず

最後の一人になるまでやめられない鬼ごっこを続ける。

最後に待ち受けていたものは恐ろしいものだった。

 

鬼談百景 (角川文庫)

鬼談百景 (角川文庫)

 

 

この2つの話が怖い 

特に「どろぼう」は怖いというより

昨今、ニュースになるような嬰児遺棄事件のニュースを観たときのようなのような胸糞悪さを感じた。

 

まあ、普通の怪談話とはいっぷう変わった

怖い話が収録されており

どれも、粒どころか大物揃いの怪談本。

 

名作「残穢」ほどではないけれど

これ一冊で恐怖のどん底にたたきおとされた。

 

映画化もされているけど

やはり、原作は想像を掻き立てられ

際限なく恐怖が膨らんで襲ってくる。

 

最高に恐ろしい読書体験をした。

鬼談百景

鬼談百景

  • 発売日: 2016/06/09
  • メディア: Prime Video
 

 

ellery0y.hatenablog.com

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佐藤愛子「九十歳。なにがめでたい」

 「気がつけば、終着駅」でこの作家さんを知りこのエッセイを読んだ。

九十歳。何がめでたい

九十歳。何がめでたい

  • 作者:佐藤愛子
  • 発売日: 2016/08/01
  • メディア: 単行本
 

内容としては90歳の著者が年齢を重ねて思うことや

現代人と昔の方の考え方の違いについて語るというもの

 

例えばこのエッセイの一部を例に出すと

 

著者は雑誌でこういう質問を見つけた

「犬の散歩をしているとおじさんに怒鳴られました、ショックです。この気持ちをどうしたらいいんでしょうか?」

この質問に対して著者はこう思ったという

「だからなに?」

たかがオヤジに怒鳴られただけだろう

子供なら泣きながら親に言ったりするだろうけど

親だって「いちいち気にすんな、いいかげん泣きやめ」と

言うレベルの問題である

ましてや、質問者はいい歳をした大人

少し精神が脆すぎるのではないか

という話から広がり現代人の心の弱さをぶった切る展開へ…

 

なんだか、今に不満があるというか

現代に対してもやっとする時がある人が読んだら

「あー、うまく言語化してくれてるー」って

思ってしまうエッセイ

 

ちなみに、私なら犬の散歩しててオヤジに怒鳴られたら

「…まずお前誰だよ、名乗れよ」って言います。

バイトの接客で客とケンカしたこともあるのだけど

いじめ経験してから異様に自分を押さえつけてくる人に

反発心を覚えるようになってしまったからねえ…

 

 

★感想

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普通は「昔はこうだったのに今の人は〜」とか言われると

軽くムカつくんですけど

でも、この著者の方の場合はほんとド正論としかいいようがなくて

しかもスパッと切り捨てるので読んでて爽快感を感じる

 

確かに昔って今と違って不便だけど

そのぶん、昔の人はメンタルが強かったと思う

 

現代人は多くを欲しがり、便利なものを手に入れ

自分で何かをやることが減り心が弱くなる

 

って感じのイメージ

 

この著者さんはデジタル関係やSNSについても綴ってたんだけど

読みながらそんな事を考えていた

 

便利になりすぎるのも考えものなんだなあ

 

ところで

この著者さんは老いや死へのスタンスがかっこいい

無理に抵抗しあがくこともなく

衰えに焦ることもなく

腹をくくって全てをひっくるめて受け入れている

 

それができるのは

この著者さんが若い頃から全力投球で生きてきて

後悔があまり残ってないからできる考えなんだと思う

 

私も後悔のないように

人生を生き抜くことができたらいいんだけどなあ…

 

できなそう

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ジョン・スタインベック「ハツカネズミと人間」

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これも私が読書メーターで挑戦している「ガーディアンの1000冊読破」のなかの1冊なんですけどね…

読み終えたのは「怒りの葡萄」で有名なスタインベック

「ハツカネズミと人間」

だけど、この作品でまさかこんな思いをするなんて…

ハツカネズミと人間 (新潮文庫)

ハツカネズミと人間 (新潮文庫)

 

✦あらすじ

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子供の頃から友達同士のレニーとジョージ

レニーは体が大きく少し知能が遅れている反対にジョージは小さく賢い

 

二人は小さな家を買い、農場を持ち、うさぎを飼いながらほそぼそと暮らす夢を持って農場を渡り歩いて働いて暮らしている

 

二人が見つけた、その農場には様々な労働者たちがいた

犬をかわいがる労働者、犬はあくまで道具といいはる労働者

黒人ということで差別をされるのを恐れ働く以外は部屋にこもりきりという労働者

色んな年齢の労働者たちが複雑な人間模様を繰り広げている

 

そんな農場で働くことになったジョージとレニーだったが

体の大きなレニーは当然、力も強く

渡りものを気に入らない労働者にケンカを仕掛けられるんだけど

力を加減するほどの知能がないレニーは大怪我をさせてしまう。

 

ただ、それはジョージや、労働者仲間のスリムが

うまく口利きを違うしたおかげでレニーの立場は守られた。

 

しかし、曲者は農場で働くリーダー格の奥さん

この奥さん、本来は派手好きで農場の嫁などという刺激のない生活をしてるせいか、欲求不満。

労働者たちを挑発しては反発を買っていたのだけども

 

ある日、レニーにちょっかいをかけ

混乱したレニーは奥さんを静かにさせようと口を押さえて殺してしまう。

 

そして、レニーは農場のリーダー格と人とその仲間に追われることになった。

 

 

★感想

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いやー、難しいわスタインベック

 

というか、文学は難しい

 

でも、レニーをリンチしようと追いつめるリーダー格の人たちから

ジョージがレニーに、とった行動は衝撃すぎて鳥肌がたった。

 

 

これはもうネタバレだけは書かない。

 

だから、読んだ感想だけを書きます。

 

レニーはただ、幸せに暮らす夢を見て働いていた

でも、ジョージは知能の足りないレニーの尻ぬぐいに疲れていた

だからあんな行動を取ったんだと思う、いたしかたない

 

…が、あまりにも…そう理不尽な気がした

 

レニーは確かに知能は足りないけど、あの農場の誰よりも純粋で優しい心を持っていた

でも、そんな心を持たない人間たちに追い詰められる

そう考えると「ハツカネズミと人間」ってタイトルも考えさせられる

本当の人間はどっちだろう

 

でも、純粋なものが踏みにじられる世界なんだ

いつの世も同じなんだと読んでいて悔しくなってしまった

 

ジョージはこれからどのような人生を歩むんだろうか

幸せになれるんだろうか、罪悪感で苦しむのだろうか

それともせめてもの罪滅ぼしにとレニーと描いた夢を叶えるのだろうか

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「ほんまにオレはアホやろか」水木しげる

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いわずとしれた「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な水木しげるがかいたエッセイ

 

「ほんまにオレはアホやろか」昨日読み終わったんだけども

ほんまにオレはアホやろか (講談社文庫)

ほんまにオレはアホやろか (講談社文庫)

 

非常にためになった………っ!

 

これは、水木しげるの半生

人と変わった少年時代、南の島の人達と出会った兵役時代、漫画家として食べていけるようになるまでの下積み時代が水木しげる自身の言葉で綴られている。

 

我が道を行く子供時代は昆虫を愛し誰よりも自由に過ごし

 

働くようになってからは「それは言ってはいかん」というような

ことを言ってはクビになり

新聞配達の仕事をしながら、夜なら頭が冴えるからと夜間学校に通い読書三昧。

 

赤紙がきて兵役につくことになっても水木しげるのゆったり感は続く。

あまりにのんびりしすぎてるので上官に叱られるし、どうにもうまくいかない。

 

過酷な戦闘の話でもこのエッセイはどこか

淡々と…いやとても、客観的に描かれている。

 

南の島で現地の人と出合い交流を深めていくうちに

日本に帰るのが嫌になるというしまつ。

戦争は激化しているといのにやはり、水木しげるは変わり者だと思った。

 

腕を負傷して日本に帰り、様々な商売で食いつなぐ

 

売れない漫画家としての下積み時代

何度も何度も売り込みに行って極貧のなかなのに

水木しげるはいつも自然体でけしてくさらない。

 

墓場鬼太郎」の誕生秘話も描かれている作品。

 

 

★感想

私の語彙力ではこのエッセイの感想を書けないのがくやしい。 

 

でも、なんというかこれだけはいえる

 

水木しげるはいつも超然としている

 

普通の人がどうしよう、もう終わりだという局面でも

ゆったりと構えている

明日から食えない、仕事をクビになった

それでも、飄々としている。

 

ボーッとしているようでもちょくちょく周りを見据え

ここだというところで行動する

 

本人の人柄だとも言えるけど

兵役時代に出会った南の島の人の影響かもしれない

 

私はこのエッセイを読んでいて南の島の現地人に対する

水木しげるの考えがとても気に入って何度も読み返してる

 

とりあえずうまく伝えられないので

このエッセイの気に入った言葉をあげる 

 

ーーーーーーーー

 

人間だけが時計なんかつくって自分で自分の首をしめている

 

アフリカのピグミーたちの考えの「ゆるやかに進むことが生を豊かにする」

 

なにかどえらいものにありつける気がして馬車馬のように働いたがその実、なにもなかった

 

人におくれたからといって人間は元来、鳥、けもの、虫けらと同じものなのだ

 

やはり怠けていてはだめで、やるからにはなんでも粘り強く、努力することが必要である

 

ーーーーーーーー

 

日本はまあとにかく便利だけど便利になるにつれ

なぜか人の心はギスギスしていく

これって、ただ笑って食べて用を足して、必要なぶんだけ働いて寝る…それが幸せだという南の島の人のような考えがあまりないからかなあと思う

 

文化も違うし…

 

でも、どこにいたって人は自然や大地とともに生きているのだから、人間だって動物で、動物のようなのんびりとした生き方のほうがおそらく自然。

なのに、知恵を得、少しでも楽になろうと欲張りむやみやたらに発展した。

 

発展した結果、人を型にはめようとする現代社会になる

また、大体の人は大体の人と同じようになろうとするから疲れる

この世界が嫌になる

 

人はなにか一つ手に入れたらあれもこれもとなり

レベルをむりやり、上げようとするから

そのぶんどんどん心も荒んでいくんだなあと感じる

 

みんな同じになるとかロボットじゃないから無理なのにね。

 

私も…まあ、ここは日本だけど南の島の人から得た水木しげるの考えを少し参考にさせてもらって、なにか息詰まることがあれば少し物を手放し、自然の思うままに身を委ねて過ごしたい。

 

たとえそれで、人生が思わぬ方向に転んだとしても

だまって、それを受け入れよう。

 

泰然自若。

 

苦しくなったら私も南の島の人になる。

 

水木しげるのように悟った考えをするのは無理だけど

自然体で自分のペースで生きていきたい。

 

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